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非上場企業で世界1位の社長チャールズ・コーク

2014/07/15
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起業した会社の9割以上が、創業の嵐に飲み込まれてつぶれていくといわれています。この嵐を乗り越えるには、創業者の並外れた情熱が必要です。

生き延びるために必死になって働いて積んだ成功体験は、創業者に染みついていきます。創業の嵐を乗り越え、成長期、安定期に入ることができた創業者に大なり小なりカリスマ性が備わっていることが多いのはそのためです。

それに対して、子供が後をついた場合、創業の嵐を乗り越えたことも、食べる心配をしたこともない二代目は、相対的に強烈な個性はなく、ひ弱だといいます。

チャールズ・コークスは創業者である父フレッドの後を継いだ二代目経営者です。コークス・インダストリーズのホームページを見ると、社史に登場するのはフレッドのみです。

しかし、年商1,150億ドルと言われる巨大企業に成長させたのは、弟のデイビッドを片腕に40年以上、会社を支配し続けたチャールズなのです。

父フランクによる創業

イングランドでキャリアをスタート

チャールズの父フレッドが石油業界にはいったのは1924年のことです。イングランドでメドウェー石油会社の社員として経験をまずつみました。

このフレッドのボスでありメンターであったのがテキサス生まれの起業家チャールズ・ガナールです。チャールズ・コークスの名前はフレッドが尊敬を寄せていたガナールにちなんで名付けられたものです。

パートナーシップとして創業

1926年、米国に帰国したフレッドを自分の事業キース・ウィンクラー社に誘ったのが正チュー工科大学時代のクラスメートでした。従業員でなく、パートナーであれば参加すると、フレッドは300ドルで会社の株の3分の1を獲得しました。

しかし、立ち上げた会社はなかなかうまくいきませんでした。貸しオフィスの中の粗末なベッドで眠る日々が続きました。

1928年、石油の熱分解プロセスをフレッドが開発し、独立系の製油所に販売して利益をあげたのが成功の始まりでした。

パートナーシップを終了して自分の会社を立ち上げる

1945年、フレッドはパートナーシップを終了して自分の会社「コーク・エンジニアリング・カンパニー」を設立しました。装置事業で拡大を続け、事業を成長させ、従業員3,800人をかかえるようになりました。

しかし、会社は大きくしても株式上場をすることはありませんでした。私企業のまま、コーク・エンジニアリング・カンパニーは成長を続けていきます。事業内容もエンジニアリングから石油精製に移行するようになりました。

共産主義嫌い

フレッドについて述べておかなければならない点が一つあります。

1928年にビジネスの機会を求めてソ連に行ったフレッドは共産主義に大の共産主義嫌いとなったのでした。

1960年に出版された「ビジネスマンが共産主義を見る」では、ソ連を「飢えと惨めさと恐怖の国」と書いています。

そして右翼団体ジョン・バーチ協会の創設メンバーとなります。共産主義者を徹底的に弾圧したというので、ムッソリーニを賞賛したこともあります。

これほど極端ではないかもしれませんが、政治観の根本は息子たちにも受け継がれていくことになります。

チャールズの社長就任まで

教育

フレッドには4人の息子がいます。次男のチャールズが生まれたのは1935年でした。父と同じくマサチューセッツ工科大学に進みます。

まずは一般エンジニアリングで大学を出た後、大学院に進み、機械工学と化学工業の2つの分野で理学修士をとりました。

父の会社に入社

当初はアーサーD.リトル社でキャリアをスタートします。しかし、1961年より父の事業を手伝うようになりました。

社長就任

1966年、父の死の前年度に、社長に就任しました。このときの会社はまだ石油精製会社としては中規模でした。

しかし、確かな経営の手腕をもつ二代目社長の下、会社は大企業へと発展します。会社規模は就任当初の2000倍にふくれあがりました。株式を上場しない私企業のままです。

「コーク・インダストリーズ」と名を改めた会社は、私企業としては世界1、2を争う規模です。2013年の売り上げ1,150億ドル、米国での雇用者数50,000人、他の29カ国で20,000人を雇用しています。

株式公開した会社になっていれば、世界の巨大企業のランキングを行うフォーチュン500社で17位につけることになります。

成功の科学

市場ベースの経営

チャールズの経営術は2007年に出版された著書「成功の科学;市場ベースの経営による世界最大の私企業の構築方法」に書かれています。

成功の秘訣は「市場ベースの経営(MBM)」とよばれる手法を使って結果を追い求めたことにあるとチャールズは言います。

MBMは科学的な経営方法で、理論と実践を統合したものです。成長と変化という継続的な課題を取り扱う枠組となっています。

MBMは人間の行動に対する科学に基づいたものです。5つの側面があります。

  • ビジョン- 会社が長期的に最大の価値を生み出すのは何で、その方法は何なのかを見定める
  • 美徳と才能—援助により、正しい価値、技能、能力を持つ人を雇い、雇用し続け、育てていくことができる
  • 知識のプロセス—関連性のある知識を産み、獲得し、共有し適用し、利益を測定して追跡
  • 決定権—正しい人物が正しい方法で決定を下す正しい権限を持つようにし、報告義務を持たせる
  • インセンティブ—組織に作り出す価値に応じて報酬を与える

経営者、経済学者から賞賛

科学者として経営にも科学を生かそうとしたチャールズの姿勢は高く評価されました。

「起業家には必読の本」(シャープ・カーマックス社会長)

「コーク・インダストリーズを大成功に導いた市場ベースの経営、謙遜と誠実さという人格を育てるビジョンだ」(バーノン・スミス(2002年度ノーベル経済学賞受賞者)

「コークほど成功の基盤となる原則をうまく実践できたものはいない」(ロブ・ウォルトン・ウォルマート会長)

一般の読者からも、「(経営学の巨人である)ドラッカー以来、最高の経営に関する本」などの賞賛が寄せられています。Amazonでは132のレビューが寄せられ、5つ星中4.5の評価を獲得しています。

政治とのかかわり

ティーパーティーの黒幕

しかし、現在では、チャールズを含むコーク兄弟の名前が賑わすのは経営・経済記事ではなく、政治記事かもしれません。

2009年頃から、米国の政界を「ティーパーティー」運動が揺り動かしています。超保守派による運動です。保守派の草の根運動とも呼ばれています。

その主張は、金持ちからたくさん税金を取る政策に反対、金持ちから税金をたくさんとって保険など福祉政策で貧しい人に還元しようとするのは反対、というものです。

その資本元となっているのが、チャールズと弟のデイビッドのコーク兄弟なのです。

共産主義を敵視した父の政治観を受け継いだコーク兄弟は、連邦政府が富を集める流れを自由への脅威として見なしています。保守派に長年、献金をしてきました。とはいえ、それほど表だった行動はとっていませんでした。

兄弟が政治へのかかわりを変えたのは、ブッシュ政権のイラク戦争など財政的に無理な政策が推進されたことがきっかけでした。

寄贈だけでは限界がある、エリートを結集させ、新たな草の根レベルの運動を起こして市民を巻き込み、保守派政治をたてなおすしかないと兄弟は考えるようになります。

そこで、「コーク・ミーティング」という場を設け、保守派の石油、銀行、製造、不動産業界の企業家や政治家を招き、議会キャンペーンから裁判官の選挙まで様々な政策を話し合い、資金調達を行いました。

当初は15名程度の出席者しかいなかったこのミーティングは、参加者と調達額を増やし、今では年二回の定期開催となり、調達額も増加しています。

同時に、草の根レベルの立て直しを始めます。小さな政府、低い税金、少ない規則を目標に、一般市民の間での会員拡大を目指しました。

ティーパーティーといわれるグループは今では共和党候補の票を握る存在となっています。

ティーパーティーの黒幕となったコーク兄弟が、大きな政府、富裕層から高い税金をとって保険など貧困層向けの政策を行おうとするオバマ政権と対立するのは必然的なことでした。

オバマケアと呼ばれる医療保険改革への抵抗は有名です。2014年6月10日にも、オバマ政権に理解を示したとしてティーパーティーからの指示を受けられなかった共和党No.2のカンター下院院内総務がティーパ-ティー支持者の候補に敗れています。

オバマ政権はティーパーティーに属する団体には高い税金をかけるようにはからっているというスキャンダルもでています。コーク兄弟とオバマ政権との駆け引きはまだまだ続きそうです。

【参照URL】http://en.wikipedia.org/wiki/Fred_C._Koch
http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303978304579475860515021286
http://www.amazon.com/The-Science-Success-Market-Based-Management/dp/0470139889/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1403278781&sr=8-1&keywords=Charles+Koch
http://www.bizjournals.com/wichita/blog/2014/02/40-minutes-with-charles-koch.html?page=all
http://www.forbes.com/profile/charles-koch/
http://www.republicreport.org/2012/koch-meeting-indian-wells/

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