つい足りないからすぐ返すつもりでお金を借りたけど…このような形で複数のカードローンを利用されているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
1つ1つは大した額ではないけれど、複数あるせいで毎月の返済が大変、返済日が違うせいでついうっかり忘れたりしてしまう…というケースも多いようです。
いい加減完済したいけれどという場合は、ローンを一本化するのもよいのではないでしょうか?
「おまとめローン」という言葉を一度は聞いたことがあるという方も少なくないですよね。簡単に言えば「借り換え」なのでもちろん申し込みの際には審査があります。
一般に審査は厳しいと言われていますが、どのような審査が行われるのでしょうか?
教えて…おまとめローンについて詳しく知りたい!
まず、おまとめローンについて簡単に把握しておきましょう。
複数借り入れを1つにまとめる「おまとめローン」とは?
ちょっとちょっとのつもりで複数から借り入れし、いつの間にか返済件数・月々の返済額が増えてしまう状態になってしまっている方がいらっしゃいます。
こういった方のことを多重債務者と言い、多重債務者の方の中には、借りては返しの自転車操業をしながらなんとか生活をしている…という状況にある方も多くいるのです。
しかし、このような状態になると、一つ歯車が狂うだけで簡単に返済不能に陥ってしまいかねません。
また、返してもすぐ借りる事をしていると元本はなかなか減りませんし、逆に金利だけが増えていくこともあり得ます。
このように、複数借り入れをしている場合の解決策として、「おまとめローン」があるのです。
「おまとめローン」は複数の借り入れ金額の総額を1つの金融機関から借り入れ、そのお金でこれまでの金融業者の残金を一括返済をして、借り換えを行うローンです。
つまり、これまでA社10万円・B社50万円・C社20万円の計3社80万円借り入れしていたのをD社80万円と借入先を1つにしてしまうのです。
これにより、返済日が月に1度で済むようになったり、毎月の返済金額が今までよりも安くなったりします。
おまとめローンや、借り換えローンとして専用の商品を提供している金融業者もありますし、普通のカードローン・フリーローンでも借入限度額が高いところと契約し他を一気に返済してしまうなんていうケースもあります。
ただし、おまとめローンや借り換えローン以外の場合は、借り換え目的の利用を禁止している場合もありますので、借入する際には注意しておきましょう。
おまとめローンは総量規制に引っ掛からないの?
おまとめローン(借り換えローン)の提供を行っている金融業者は複数あります。
しかし、ここで気になるのは総量規制との関係ですよね。
- 総量規制とは…
消費者金融をはじめとする貸金業者が守るべき法律である貸金業法に定められています。
貸金業者は、借入者の借り入れ金額が合計で年収の1/3以下までしか貸し付けてはいけないという決まりです。
つまり年収が600万円の方は貸金業者からの借り入れ合計額が200万円以上借り入れできないということになります。
おまとめローンしたいけれど総量規制にひっかかるから無理じゃないか!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、総量規制は消費者金融をはじめとする貸金業者が守るべき決まりであって、銀行は基本的には関係ありません。
銀行のおまとめローン商品も多数ありますので、それらから選ぶのもよいでしょう。
また、実はおまとめローン(借り換えローン)は総量規制の対象外となっています。
これはなぜかというと、総量規制には次のような場合、対象外となるという例外が存在するからです。
- 緊急の医療費などの貸付
- 社会的に見て必要となる支払いのための貸付
- 消費者に一方的に有利となる借り換え
- 配偶者の同意がある上で配偶者と契約者の年収の合算の1/3までの貸付
- 個人事業主に対する貸付
- 決められたつなぎ融資に関する貸付
おまとめローンはこの中の「消費者に一方的に有利となる借り換え」に当てはまります。
そのため、消費者金融をはじめとする貸金業者のおまとめローンも総量規制を気にせず申し込むことができるのです。
おまとめローンを利用してローンを一本化するメリットデメリットは?
では次におまとめローンをすることによって考えられるメリットデメリットについて検討していきましょう。
複数の借り入れを一つに出来て、毎月の返済額も少なくなるんだからいいことだらけなんじゃないの?と思うかもしれませんが本当にそうなのでしょうか。
おまとめローンにすることでメリットがたくさんある?
多重債務の方が、おまとめローンを利用することによって得られるメリットは沢山あると言われています。
- 返済についての管理が今までより楽になる
複数借り入れがあると、返済日が月に何度も訪れることになります。
おまとめローンを行うと、返済は月に1度1カ所に返済するだけなので、返済管理は格段に楽になる事でしょう。
- 毎月の返済総額が下がることがある
例えば今まで4社に毎月各2万円ずつ返済していると月に返済する金額は8万円となります。それをおまとめローンにすることで、1社に毎月5万円で済むということになる可能性もあるのです。
今の時点で毎月の返済額が大きく返済に困っている場合、借りては返しを繰り返している場合は、おまとめローンにより月々の返済額が下がれば大変助かりますよね。
- 金利によっては総返済額が減る可能性がある
おまとめローンは借入額も大きくなる傾向があり、比較的金利を低めに設定しているケースが多いです。
そのため、今の金利と比べて著しく低い場合は総返済額で見ても今のままよりも安く済む可能性があるのです。
例えば以下の状況だったとします。
借入額 | 金利 | 返済期間 | 毎月の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 10万円 | 18.0% | 24カ月 | 4,992円 | 119,808円 |
B社 | 20万円 | 15.0% | 24カ月 | 9,697円 | 232,722円 |
C社 | 30万円 | 8.0% | 36カ月 | 9,400円 | 338,418円 |
合計 | 60万円 | – | 最長36カ月 | 24,089円 | 690,948円 |
これを次のようなおまとめローンにしてみると総返済額がお得になります。
借入額 | 金利 | 返済期間 | 毎月の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|---|---|---|
α社のおまとめローン | 60万円 | 8.0% | 36カ月 | 18,801円 | 676,847円 |
毎月の返済額にして6,000円程度、最終的な返済額だと14,000円以上もお得になるのです。
これはあくまでも一例で、ケースバイケースで計算をしていく必要がありますが、このように毎月の返済額が下がるだけでなく、総返済額が1万円以上も安く済むこともあるのでチェックしてみましょう。
- 手数料が安くなる場合がある
手数料の面で見てもメリットが考えられます。
例えば借り入れしているところが消費者金融で、近くに自社ATMが無くいつもコンビニATMから返済していたとします。
コンビニATMの利用では借入・返済時に手数料が発生するケースがあるのです。
1万円以下で110円、それ以上で220円が一般的ですので、上のケースのように3社利用してそれをすべて手数料のかかるATMで返済する場合、返済だけで324円の手数料が発生することになります。
しかし、おまとめローンにすると返済先は1社になるので、多くても220円ですし、銀行のおまとめローンの場合は口座引き落としになっている場合もあり、その場合は手数料がかからないことが多いので手数料自体がなくなる可能性だってあるのです。
いいことだらけのようなおまとめローン…デメリットはあるの?
おまとめローンのメリットをご紹介しましたが、本当にいいことだらけのように感じてしまいますよね。
しかし、借入先を注意して決めないと次のようなデメリットが発生する恐れがあるのです。
- 最終的な返済期間が延びてしまう可能性がある
おまとめローンにするということは月々の返済額が大きく対応が難しいという背景がありますよね。
出来れば今までよりも返済金額を押さえたいと考えるはずです。
毎月の返済金額ばかりに目をやっていると、実は意外な2つの落とし穴があったりします。
そのうちの1つが、「返済期間が長くなってしまうこと」です。
今までは最長でも3年だったのが、おまとめローンにしたら5年契約だったから返済期間が2年延びてしまった…というケースは往々にしてあります。
返済期間が延びるのは何か問題があるの?と思われるかもしれませんが、返済期間が延びれば、その分金利を払う回数が増えます。
また、近く別のローンなどを検討している方や、完済後に別のローンを組むプランがあった方の場合はそれらの審査に影響が出てくるかもしれません。
- 総返済額が今よりも高額になる可能性がある
先ほど、総返済額が今よりも安くなる可能性についてお話ししましたが、それとは逆に今よりも高くなってしまう可能性ももちろんあります。
これがもう1つの落とし穴です。
先ほどの件で、おまとめローンが以下の条件だったらどうなるでしょうか。
借入額 | 金利 | 返済期間 | 毎月の返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|---|---|---|
β社のおまとめローン | 60万円 | 10.0% | 60カ月 | 12,748円 | 764,864円 |
この条件だと毎月の支払いは今までよりも1万円以上抑えられます。
しかし、総返済額でみると7万円以上多く支払うことになってしまうのです。
毎月の返済額ばかり見ず、総返済額、返済期間もきちんと計算したうえでおまとめローンの契約をするようにしましょう。
毎月の返済額が減り、返済日も1日になるので管理が楽になりますが、場合によっては返済期間が長くなったり、総返済額が今までよりも多くなったりすることもあるのです。
おまとめローンの審査を受けたい!審査が厳しいってホント?
メリットもデメリットも検討したうえでそれでもおまとめローンに申し込みたいという方もいらっしゃることでしょう。
おまとめローンで融資してほしい!申し込んだらどんな流れになるの?
ではまずおまとめローンを申し込んでから融資までの簡単な流れをご説明しましょう。
各金融機関ごとに細かくは異なりますので、ここでは大まかなステップをご紹介します。
- 申し込み
インターネットや、窓口などで申し込みを行います。
申し込みを行う際には、現在の借り入れ状況・借入残高が判るような書類を準備しておく必要があります。
また、通常のキャッシングと同様、本人確認書類・収入を証明できる書類なども必要となりますので予め用意しましょう。
- 審査
申込先の金融業者による審査が行われます。この時、金融業者側でも、信用情報を照会し、申込者の借り入れ状況・借入残高を確認する場合があります。
- 契約
審査に通れば契約となります。契約の際には、申し込み内容の最終確認や、使用用途(借り換えであるということ)の確認なども行われます。
契約書が送付され、それに記入し返送することになるケースが多いです。
- 融資・他社への返済
おまとめローンの借り入れ先から融資されます。速やかにそのまま他社の返済に充てましょう。
金利は1日ごとに増えていきますから、融資を受けたらすぐに返済してしまうのが重要です。
おまとめローンの審査で注目されるのはどこ?
おまとめローンや借り換えと呼ばれているので、今まで普通のカードローンの審査に通っていたら簡単に通るんじゃないの?とお思いの方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。
しかし、おまとめローンは新規の借り入れ、しかも、金額が大きな融資となります。
そのため、当然審査も行われ、いくら多重債務で苦しんでいておまとめローンが必要な人でも、この人は返済ができないかもしれないなと思われたら審査に通ることはないのです。
また、おまとめローンの場合は、返済が長期にわたるケースが多く、毎月確実に返済してくれる人というのがより強く意識されるのではないでしょうか。
そのため、通常のローンよりも審査が厳しいのではないかとも言われているのです。
では、審査をされる際に特に注目されている言われるポイントについてご紹介します。
- 返済状況
おまとめローンを利用したいということは現在他社に返済しているということですよね。
この返済状況は審査において最も重要なポイントといって過言ではないでしょう。
返済状況なんてどうやってわかるの?と疑問かもしれませんが、実はアナタの返済状況は、すべて信用情報機関に登録されています。
信用情報機関は日本には3機関ありますが、どれもCRINで情報共有されている為、基本的にはアナタのローン情報・クレジット情報はここに集約されているということになります
信用情報機関に登録されているのは、借り入れ状況だけではなく、返済状況も登録されています。そのため、もし返済が滞っていたり、延滞している場合も、その情報がきっちりと記載されていることになるのです。
他社で返済が滞っているなら、うちでもきちんとした返済がされないかもしれない…と思うのは仕方がありませんよね。
信用情報は数年間保管されている為、過去数年のうち延滞や滞納、踏み倒し、金融事故などを起こしている場合は審査に通ることは難しいでしょう。
こういった事態になってしまう前におまとめローンに申し込んでおくというのもよい選択肢かもしれません。
- 借入件数
次に重要と言われるのが借入件数です。おまとめローンなので当然複数からの借り入れが前提となるのですが、その件数が多すぎても、審査では厳しく判断されるようです。
もちろん借入件数は少ない程理想です。多くても5社程度が限界だと思っておきましょう。
- 収入状況
お金を貸すのだから当然返してもらわなくてはいけませんよね。しかも、利益を得るためには金利も払ってもらう必要があります。そのためには返済能力があるのかをチェックする必要があるのです。
この返済能力というのが、収入となります。
例えば複数借り入れしていた時には年収が400万円あったけれど、今は転職して300万円になってしまったなんて言う時は、審査にも影響を与えてしまうでしょう。
(⇒キャッシングの審査基準とは)
特に今までの返済状況や現在の借入件数、年収などは必ずチェックされるでしょうから不備の無いものにしておきたいですね。
おまとめローンの厳しい審査に通りやすくするためには?
せっかく便利なおまとめローンですからぜひ活用したいという方も多いですよね。
しかし、審査に通らなければ意味がありません。
おまとめローンの審査を受ける前に出来る限りのことをしてから臨みましょう。
出来るだけ借入件数を減らす
借入残高がもうあと数万円程度など、比較的少額なものは返済をし終わってから申し込む方が良いでしょう。
やはり借入件数は少ない程理想です。
繰り上げ返済や、今利用しているカードローン内での借り換えなどを行って出来る限り件数を減らしておきましょう。
現在使っていないカードなどは解約しておく
昔使っていたけれど今は使っていないというカードもあるかもしれません。返済が終了したらいつか使うかも…とそのままにしているカードがあるのであれば、これを機に解約してしまいましょう。
クレジットカードならキャッシング枠を無くしておくだけでも良いですしローンカードなら解約しておくようにしましょう。
使用していないカードをたくさん持っていても管理が大変になるだけですから、カードの取捨選択を行うことが大切です。
収入を増やす・属性の向上をめざす
返済するためにはお金が必要です。そのために、収入を増やす努力も忘れずにしておきたいところです。
アルバイトなど副業を始めるのもよいかもしれません。
しかし業務上なかなか難しいという方もいらっしゃいますよね。
そういった方はご自分の属性を向上させていくことに専念しましょう。
属性とは職業・年収・勤続年数などです。職業や年収はなかなか変更できませんが、勤続年数は着実に積み重ねていくことができます。
コロコロと転職を繰り返す方の場合、たとえ貸したとしてもすぐに職を変えてしまうかもしれない。または、転職のために退職したはいいけれど再就職先が見つからず返済できないかもしれないという不安感を与えてしまいます。
また、転職したばかりの頃はどうしてもローンが通りにくくなってしまいますので、転職を考えている方は、転職前にローンの審査を受けるか、転職後半年~1年程度してから申し込みをするようにしましょう。
今の借り入れを返済し終わるまでは新たに借り入れしない気持ちが大事
おまとめローンという商品の本質は複数ある借り入れを1本化して返済の負担を減らし、完済を目指すということにあります。
そのため、おまとめローンに通ったからと言って、また新たに借り入れを…と考えるのは絶対にいけません。
借入件数は減りましたが、元々の借入金額は決して減ったわけではないのです。
そのことを忘れ、日々の返済が楽になったからと甘い気持ちでまたキャッシングに手を出すと、今度は首が回らない状態なるかもしれません。
借金を返済してしまえば、いままで返済に使っていたお金を自由に使えるわけですから、それまでは我慢して返済に専念するようにしてくださいね。
【参考ページはこちら】
キャッシングの悩みと質問を一気に解決
おまとめローンは複数の借り入れを一本化して毎月の返済に対する負担を減らし、完済を目指すためのローンとしては適しています。
しかし、毎月の返済額の負担は減っても、総返済額が増えたり、返済期間が延びたりするのでそこも十分検討しなくてはいけません。
また、おまとめローンが出来たからと言って新たに借り入れするのは絶対にやめておきましょう。
おまとめローンは銀行・消費者金融など様々な金融業者が提供しているので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。