キャッシングを利用する時に特に意識することはなんでしょうか。利用限度額?それとも金利がどれくらいかということでしょうか。
グレーゾーン金利についてはどんなことをご存じですか?既に過去の話と云えることなのかもしれませんが、キャッシングは利用経験者が人は4人に1人の割合であるという調査結果もあるくらい、身近な存在です。それだけに経年的な流れを確認しておくのも大切なことです。
誰だって借り入れ後、返済はちょっとでもスムーズに行いたいと考えます。今回は金利のことについてこのグレーゾーン金利も含めてちょっとだけ深く掘り下げてみましょう。
利用限度額と金利の関係について実際に計算して考えたら
利用限度額の上限が高くなると金利が低くなります。
(⇒キャッシング金利についてもっと詳しく)
例えば消費者金融A社は利用限度額50万円の場合の金利は年18%、利用限度額100万円の場合は年16%に設定されています。
前者の場合で5万円1ヶ月借り入れした時の金利は
50,000円×0.18÷365×31=764円になります。
後者の場合、同額を借りた時は前者よりも金利は低くなりますが、この条件で6万円を借りると
60.000×0.16÷365×31=815円となります。
利用限度額が大きければそれだけ借り入れる金額も大きくなるケースはあるわけですから、その分融資元の利益の可能性も望めるわけです。
貸金業者はどんな法令によって企業活動しているのか
消費者金融の場合は貸金業法によって企業活動の基準が示されています(銀行や信用金庫についてはそれぞれの金融機関を規制する法令に依ります)。
同時に両者も利息制限法や出資法という別の法律についても自社の企業活動の基準にしなければいけません。
では、グレーゾーン金利とはどんなものなの?
グレーゾーン金利はこれらの法律の解釈のしかたによって派生して事案です。2010年に改定貸金業法は完全施行されて総量規制の導入とグレーゾーン金利の廃止がなされました。この以前は消費者金融の多くは度々記述するグレーゾーンで金利を設定していました。
そのグレーゾーンとは利息制限法の上限金利は超えるけれども、出資法の上限金利は超えない範囲のことです。当時、出資法の上限金利は29.2%でした。それに対して利息制限法の上限金利は以下の通りです。
- 元本が10万円未満:年20%
- 元本が10万円以上100万円未満:年18%
- 元本が100万円以上:年15%
つまり、キャッシングの金利が25%や26%だった時代があるのです。それって、問題ないの?と率直に思われる方も多いでしょう。結局のところ問題視されたから改定がされたわけですが、グレーゾーン金利が存在していたことにも、とある根拠があってのことなのです。
その根拠が「みなし弁済」です。では、このみなし弁済とはどのようなものなのでしょうか。
グレーゾーン金利が存在した根拠について
前述の通り、キャッシングの金利が利息制限法を超えていたとしてもただちに違法とされることはありませんでした。それは借主が「任意に利息として支払った場合」は融資元が元本の返済ではなく、利息として受け取ることができたからです。
みなし弁済の法的条件についてはもっと詳細な部分もありますが、ここではポイントのみにとどめておきます。
では、当時のグレーゾーン金利である年25%の金利で5万円を1ヶ月借りたとしましょう。利息は
50,000円×0.25÷365×31=1,062円になります。
利息制限法では年20%の上限金利なので利息は
50,000円×0.20÷365×31=849円です。
差し引き213円は元本返済分ではなく、任意の利息とされていたということです。
出資法もあわせて改定されていることを知っておこう
それにともなって、元本が10万円以上100万円未満の融資で年18%を超えて年20%までの利息分、元本が100万円以上の融資で年15%を超えて20%までの利息分は利息としては無効で、これを「利息として受け取ることは」行政処分の対象になっています。
少々、云いまわしがくどいかもしれませんが、この部分はなるべく正確に表現しました。もう少し正確性を期すると、利息分は受け取るだけではなく、利息として課すだけでもいけないことになっています。
また、年20%以上の利息を受け取ることは行政処分よりも重い刑事罰の対象になります。
では、グレーゾーン金利は完全に過去のものなのでしょうか。実はそうとも云いきれません。「過払い金返還請求」という言葉を聞いたことはありませんか?
法律事務所や司法書士事務所などが結構宣伝をしているので聞いたことがある方は多いと思われます。
過払い金請求はグレーゾーン金利によって、多く払った利息分を元本の返済に充てたとみなして、余剰分の返還を請求することです。
現行の金利で計算をするわけですから、金利の再設定にあたります。金利の再設定による過払い金の請求は返済が完了している場合、10年間が期限になります。この請求をすることでメリット、デメリット双方が存在しますので、これを考えている方は慎重を期す必要があります。
ところで、貸金業法の改定のところで、総量規制という言葉がでてきましたが、総量規制は年収の3分の1を超える貸し付けをしてはならないという規制のことです。
銀行などの金融機関はその対象ではありませんが、利用者の側からみると、貸金業者からの借り入れは複数の会社の合計額で年収の3分の1を超える借り入れはできなくなりました。
なお、総量規制という言葉自体はキャッシングだけではなく、貿易や環境保全の他の法令の規制などでも使われます。
グレーゾーン金利という言葉がもたらした社会的影響
貸金業外でグレーゾーンという言葉が使われたために他の分野でも、この言葉が浸透しました。安全保障の分野でも使われています。2014年の防衛省刊行の白書では「純然たる平時でも有事でもない幅広い状況」をグレーゾーン事態と呼ぶことが正式に定義されました。
また、パチンコ業界の特殊景品の三点交換(四点交換とされることもあります)もグレーゾーンと呼ばれることもあります。こちらも風俗営業法という法律の解釈から派生していることがらです。
日本語の表現では「白黒はっきりさせる」という表現があります。白を良、黒を不としてとらえるイメージが一般的なので、グレー(灰色)はどちらかというと黒に近いという考え方もあります。
貸金業界の場合、グレーゾーン金利の廃止によって、業界の再編成がすすみました。貸金業者の多くが利潤をあげる条件が厳しくなったことから、銀行の子会社化したのです。
グレーゾーン金利が廃止されたことによる利点
そのことによって、銀行側は自社のカードローン商品化のノウハウをより蓄積しました。貸金業者は経営的な体力を得たとともに、社会的信用度も得るようになりました。
昨今では、その社会的信用度を損なわないためにより優良企業となるための努力を重ねています。グレーゾーン金利の廃止は結果的にはキャッシング利用者にも貸金業界側にも良い面をもたらしたと考えることができるでしょう。
このように、その業界で話題になっている言葉を少し深く考えてみることによって、業界全体や将来のことがなんとなくわかることもあります。そして、何かがこれまでよりも身近なものになってくるかもしれません。
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