無担保・無保証人で個人向けに融資をしてくれるカードローンが人気です。しかし、同時に複数のカードローンを利用してしまい、多重債務に苦しむ人たちも続出しました。2010年、そのような多重債務問題の解決策として、年収の三分の一以上の貸付を禁じる「総量規制」という法律が施行されました。
この法律によって、ある程度の多重債務者対策は成功しましたが、逆に、もう少し借りたいという人にとっては、とても不便な法律です。そこで注目なのが、総量規制対象外となるカードローンの存在です。今回は、総量規制対象外のカードローンの見分け方と申し込みの注意点についてまとめます。
総量規制の施行前と施行後なにが変わった?カードローンの今を分析
総量規制は個人の年収によって、キャッシングの借り入れ総額に制限をかける法律です。もちろん法律ですから、世の中をよくするために成立したのは間違いありませんが、では、その施行前と後で具体的に何が変わったのでしょうか?
利用限度額は無限?多重債務者が続出したカードローン問題
2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、その中に総量規制という重要な法律が盛り込まれました。これは、借り入れ限度額に制限がなかった個人向け融資を、大幅に規制する法律です。
総量規制とは、借りる人の年収の三分の一を超える貸付をしてはいけませんと業者側に規制をかける法律です。
利用限度額に規制がなかった頃は、借り入れを超過する人が続出しました。借金を借金で返す多重債務者が多くいたのです。多重債務は、高圧的な取り立てや、借金苦による自殺など、大きな社会問題となりました。総量規制ができた背景には、このような業界ルールの見直しが迫られる背景があったのです。
総量規制は厳しい?年収がない人は借りることができなくなったの?
総量規制を具体的に見ていきましょう。300万円の年収の会社員ならば、他社借り入れが何社あろうと、その利用限度額は100万円までです。例えば、ある貸金業者で80万円の借り入れがあるなら、他の会社では、20万円までしか借りることが出来ません。これが総量規制の基本ルールです。
ここで、ひとつ注目すべき事があります。総量規制により、年収という文言が入ったことによって、収入がない人は借りることが出来なくなってしまったということです。当たり前のように聞こえますが、例えば専業主婦(主夫)などは、社会的には立場はあるのに、収入がないというだけで、審査の対象外になります。
カードローンやキャッシングを扱う貸金業者は、当然、国の認可を受けて営業しています。そのため、総量規制を無視して、収入のない人や年収の三分の一を超える人への融資を実行すると、行政処分を受けてしまいます。融資にも以前より慎重になるのも当然です。
多種多様なニーズを満たせなくなった個人融資の限界…
総量規制は多重債務などの社会問題に対して、ある一定の効果はありました。しかし、利用者の利便性という面では、以前に比べて少し劣化しました。もう少し借りたい、主婦や主夫でも借りたいというニーズを満たせなくなってしまったのです。
カードローンやキャッシングなどを扱う貸金業者が審査で最も重視するのが、月々の安定した収入の有無です。アルバイトであるか会社員であるか、その雇用の属性は問われませんが、安定収入があり、なおかつ年収の三分の一が貸金業者の融資限度額なのです。
三分の一を超えてもOK!銀行系のカードローンは総量規制の対象外!
保証人や担保がいらず、比較的自由にお金を借りることができるカードローンやキャッシングですが、総量規制によって不自由になった印象があります。しかし、同じカードローンでも、総量規制の対象外になるものがあります。それが、銀行系カードローンです。
どうして銀行系は総量規制の対象外なの?銀行法と貸金業法の違い
例えば、年収300万円の人が銀行から100万円お金を借りていたとします。その後、急な入用で消費者金融などの貸金業者からお金を借りなければならなくなった場合、総量規制に従うならば、一銭も借りることができないことになります。
しかし、実際には借入申込をして審査に通れば、お金を借りることができます。
なぜなら、銀行の貸付は貸金業法の規制の対象外だからです。銀行は銀行法という銀行や信用金庫などに適用される法律に従います。
銀行系カードローンも、一般の銀行からの借り入れと同様です。形は個人融資のサービスで似ていますが、貸金業者のカードローンと銀行系のカードローンではその基本となる法律が違うのです。総量規制の対象外になるのは銀行系カードローンなのです。
いくつもあるので混乱する…まずは、貸金業者の定義を教えて!
貸金業者の定義は、お金を貸す業務を行っており、財務局または都道府県に登録している業者のことをいいます。そのため、闇金のような違法業者以外は、すべて、国から認められた営業許可の登録番号を持っています。
しかし、そもそも貸金業者って?お金を貸す会社はみんな貸金業者でしょ?と考える人は多いかもしれません。しかし、前にも触れたとおり、銀行や信用金庫は実質的には融資をしますが、貸金業者ではありません。貸金業者の具体的な種類を以下に、リストアップしました。
- 消費者金融会社
- クレジット会社(キャッシングのみ)
- 信販会社(キャッシングのみ)
基本的に、貸金業者のメインは消費者金融です。それ以外は、クレジット会社・信販会社のキャッシング・カードローン部分のみを総称して貸金業者といいます。クレジット会社などについてもう少し説明すると、クレジットカードのショッピング枠は、じつは貸金業にはあたりません。
あくまでも、クレジットカードで現金を借りる場合のみが、貸金業法の総量規制の対象になります。
貸金業法に抵触しない総量規制対象外のカードローンはコレ!
繰り返しますが、銀行のカードローンは総量規制の対象外です。同じような個人向け融資でも、銀行カードローンは年収の三分の一以上借りても全く問題ないのです。なぜなら、銀行が従う法律は銀行法であり、貸金業法ではないからです。もちろん、銀行以外にも総量規制対象外のカードローンはあります。以下にまとめました。
- 銀行カードローン
- 信用金庫カードローン
- 労働金庫カードローン
- 農協のカードローン
総量規制対象外かどうかを見分けるのは、簡単に言えば、銀行や大きな団体のカードローンか、そうではないか、この部分を見ればとりあえずは良いでしょう。今回は、その中でも最も種類の多い銀行のカードローンに絞って説明していきます。
とはいっても混乱してしまう…という人も多いでしょう。その場合は、銀行が一切絡んでいないカードローンやキャッシングは総量規制の対象になる、とだけ覚えておけばいいです。消費者金融と銀行が提携しつつある昨今ですが、そのカードローンに○○銀行系という表記があるかないかでどちらか大体分かります。
総量規制対象外の銀行カードローン…その種類と特徴を教えて!
昔と違い、今は銀行も個人向け融資に力を入れています。銀行のカードローンというと、融資が厳しいのではないか?と思うのも当然ですが、今の銀行カードローンのサービスは消費者金融のメソッドを取り入れているので、審査時間も早く、即日融資も当たり前なのです。
個人向け融資に参入しだした大手銀行…増加する消費者金融との提携!
昨今、大手銀行は消費者金融と提携しているところが多くなってきました。既存の消費者金融を保証会社とすることで、個人向け融資を積極化させているのです。ですので、○○銀行グループ+消費者金融の名前となっているところも多いのです。
(⇒貸金業者で借り入れをする場合)
そうなると、貸金業者なのか、銀行なのか迷ってしまいます。
しかし、繰り返しますが、銀行の名前が入っている時点で、そのカードローンは銀行法が適用されます。
総量規制対象かどうか迷ったら、必ずどこかに銀行の名前がないか探してみましょう。あれば、年収三分の一の規制は無視して大丈夫です。
主な銀行カードローンの利率と限度額について
種類 | 金利 | 限度額 | 保証会社 |
---|---|---|---|
三菱UFJ銀行カードローン | 4.6-14.6% | 500万円 | アコム株式会社 |
みずほ銀行カードローン | 3.0-14.0% | 1000万円 | オリエントコーポレーション |
三井住友銀行カードローン | 4.0-14.5% | 800万円 | SMBCコンシューマーファイナンス |
新生銀行カードローンレイク | 4.5-18.0% | 500万円 | 新生フィナンシャル |
楽天銀行スーパーローン | 4.9-14.5% | 500万円 | 楽天KC |
イオン銀行カードローン | 3.8-13.8% | 800万円 | イオンクレジットサービス |
大手銀行だけでなく、土地などを持たずにネット上でサービスを提供するネットバンクのカードローンも、もちろん総量規制対象外です。
楽天銀行をはじめ、イオン銀行、じぶん銀行、セブン銀行などのカードローンもネットバンクならではのスピードで、徐々に人気を集めつつあります。
カードローンの保証会社が消費者金融なら、審査は銀行系より楽?
例えば、三菱UFJ銀行カードローンは、アコムが保証会社なので、審査は消費者金融と同じで通り易いかといえば、そこは少し違います。総量規制に抵触する消費者金融系のカードローンよりは、若干、銀行カードローンの方が、審査が厳しいと言えます。
総量規制対象外の銀行カードローンは、メリットが多いですが、あえていえば、審査が厳しいという事が言えるでしょう。そういう意味では、銀行系カードローンは、個人融資のメソッドを取り入れつつ、貸し倒れや多重債務にならないように、銀行独自の審査基準を導入しているのです。
貸金業者にとっては、大手銀行という信用を、銀行にとっては個人向け融資のノウハウを…銀行系カードローンは、それぞれのいい部分を活かしたサービスと言えます。ただ、審査に関しては、銀行系カードローンの方が、厳しくなったのは利用者にとっては、デメリットといえます。
総量規制対象外の銀行カードローン、申込みのポイントと注意点
銀行のカードローンといっても、大手銀行からネットバンクまで、色々な種類があります。選ぶ際にポイントとなる部分を理解していないと、迷ってあれもこれも、ということになりかねません。また、申込みの際に、絶対に避けるべき注意点もチェックしておきましょう。
借入額によって違う金利のチェックと絶対やってはいけないこと
まず、優先事項として考えるポイントとしては、金利です。もちろん、金利といえば低いに越したことはありません。ですが、金利も借りる金額によって上下があります。例えば、三井住友銀行カードローンの場合は、借入額100万円以下は12.0~14.5%の金利が適用されますが、700~800万円だと4.0~4.5%の金利が適用されます。
金利の検討は、申し込む社を1~2社に絞るのが目的です。多数の銀行カードローンに申込んではいけません。同時に申込めば、どれかの審査に通るだろう、と軽く考えてしまいがちですが、これはいけません。
なぜなら、申し込みをした時点で、信用情報機関にその情報が記載されてしまうからです。カードローン審査の時には必ず、この信用情報は照会されます。
多数の申し込みがある、ということが判ると、グレーの客であると判断されます。本人にその意志がなくても、そう見られてしまうのです。
知らないと損する!カードローン利用の際の特典アレコレ
金利の次にポイントとしてあげたいのは、各社の特典事項です。顧客獲得に力を入れている銀行各社は利用者に対して、特典を与えているところも多くあります。有名なものとしては、30日間や60日間の金利ゼロキャンペーンです。
金利ゼロキャンペーンと似た特典としては、一定期間を設けてその間に発生した利息が返金される金利キャッシュバックキャンペーンなどもあります。こちらも、実質の金利が0になるとってもお得な特典です。
また、楽天銀行などは自社の楽天サイトで使用できる楽天ポイントを1000Pプレゼントするなど、楽天を利用している人にとってはとても魅力的な特典を提供しています。その時々で変わるこれらの特典をチェックするのも、カードローン選びには必要になります。
口座開設が断然お得!銀行カードローンを利用するメリット
もちろん、銀行カードローンを利用するにあたってその銀行の口座が必須というわけではありません。しかし、審査の簡便化や利用しやすさを考えると、口座は開設しておいた方が良いでしょう。ネットバンクが使えないなど、口座がないと不便なことが少なくありません。
また、たとえば楽天銀行のカードローンの場合は、カードローンの申し込みと同時に口座を開設すれば、通常のポイントにプラスしてポイントがもらえたりします。イオン銀行の場合もお買い物がとても便利になるなど、もし狙った銀行カードローンがあるのなら、その口座は開設しておいたほうが良いでしょう。
総量規制対象外のカードローン選び、注目するポイントは3つ!
総量規制対象外の銀行カードローンに申込む時のポイントとしては、簡単に次の3点があげられます。
- 借入希望額の金利が低い
- その時期に魅力的な特典がある
- 銀行口座を開設している、またはしてもいい
総量規制対象外のカードローンの見分け方と、申し込みのポイントについて見てきました。忘れてはいけないのは、銀行カードローンも消費者金融などの貸金業者のノウハウが基本になっています。
ですので、年収の制限はありませんが、一定の審査基準はむしろ、消費者金融業者単体よりも厳しいと考えられます。そう言った部分を十分考慮して、借入する業者をしっかり選んで賢く利用する必要があります。
【参考ページはこちら】
キャッシングの審査基準をチェック!
ネットバンクや大手銀行のカードローンは、銀行というバックボーンがあるので世の中にあるカードローンの中では、信頼度は抜群です。しかし、審査が厳しい点は否めません。だからといって、何社にも申し込みをすると、信用が下がるので1~2社に絞る必要があります。
しかし、年収がない人は借りられず、三分の一を少しでもオーバーするとまた借りられない…利用者にとっては少し不便な法律です。さらに、融資する貸金業者もこの法律によって、売り上げが落ち、倒産するところや銀行と提携するところが出てきます。