発泡酒とはそもそもどんなお酒?
発泡酒は、ビールテイストのお酒として1990年代中盤に日本に登場しました。従来飲まれていたビールより低価格でビールの風味を感じさせる発泡酒は、消費者の間でまたたく間に浸透していったのです。
発売当初は認知性も低く、ビール好きの人には敬遠されていた発泡酒も、年々味の改良が進み、今ではビールと変わらない濃さと味を提供するまでになりました。ビールテイストで低価格なら、発泡酒を選んでしまいますよね。
発泡酒は、酒税法においては「麦芽を原料とした酒類で発泡性を有するもの」と定義されています。ちなみにビールは「麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの」となっています。ビールテイスト酒衣類のみが発泡酒と言われているのではなく、ビールやホップ以外の原材料を使った発泡酒もあります。
ビールとの大きな違いは、酒税法上の税率の違いにあります。発泡酒の税率は、原材料である麦芽比率によって違ってきます。「麦芽比率50%以上」「50%未満25%以上」「25%未満」の三段階に区分されています。
市場に出回っている一般的な発泡酒の麦芽比率は、25%未満が主流となっていますが、麦芽比率50%以上の発泡酒になると税率はビールと同じになるのです。
発泡酒とビールの違い
最近の発泡酒は製法技術の進歩により、ビールとの違いがわかりにくなってきました。味は限りなくビールに近いのに価格はビールより低いなら、発泡酒を選んでしまいます。発泡酒とビールの違いはどこにあるのでしょうか?
先に述べた酒税法の区分により、税金の比率が違ってくることがひとつです。ビールも発泡酒も麦芽を原材料として使いますが、その麦芽の使用率に違いがあります。
ビールは、麦芽使用率が66.7%を超えています。ビールの原材料である麦芽以外の副原料をつかって製法するのが発泡酒です。発泡酒の中でも麦芽使用率が50%を超えるものもありますが、価格帯を抑えるために通常は25%以下に抑えているようです。税金の比率によって価格も大きく違ってくるわけです。
発泡酒のこれから
発売当時からひとり勝ちだった発泡酒の売上も、近年では陰りがみえているようです。その原因としては、酒税法の改定により税率が高くなってしまったからです。
低価格が売りの発泡酒なのに、税率が上がってしまうと、メーカーも苦戦を強いられてしまいます。ビールとの価格差が縮まることで、ビールを選んでしまう消費者が増えてしまうことになります。
さらに追い打ちをかけているのは、「第三のビール」と言われている低価格のビールテイスト飲料です。第三のビールは発泡酒より低価格で、味もあまり変わらないと人気があります。大手ビールメーカーうち数社は発泡酒から撤退する方針を持っているとも言われ、今後の展開が気になるところでもあります。
健康志向にターゲットを合わせた発泡酒には根強い人気がありますが、さらなる進化を期待したいものです。発泡酒の売上に目を付けた国の方針に負けることなく、美味しい発泡酒を造り続けてほしいと願っています。