イギリスのシンボルのひとつと言えばバッキンガム宮殿。バッキンガム宮殿は非常に長い歴史を持つ御殿で、1703年にバッキンガム公ジョン・シェフィールド氏が建てた、非常に質素な私邸「バッキンガムハウス」が始まりだと言われています。

バッキンガム宮殿がイギリス王室の住居となったのは、1761年に当時国王であったジョージ3世がバッキンガムハウスを買い取ってからです。

その後、1837年にヴィクトリア女王が即位したのと同時にバッキンガム宮殿に移住して以来、バッキンガム宮殿がイギリス王室の公式宮殿として使用され続けています。

ボロボロのバッキンガム宮殿。改築したいけどお金が無い・・・

世界で8番目の大きさを誇る、約1万坪、築300年以上のバッキンガム宮殿。巨大な宮殿内の総部屋数は実に775部屋で、この凄まじい大きさの宮殿を管理・運営する事はとても大変な事です。

2014年だけで、宮殿内の修繕に費やした費用はなんと210万ポンド（約2億7900万円）。しかもこの修繕工事は、人体に被害を及ぼすアスベストの除去や、屋根・歩道、そして公式行事で使用される部屋の補正といった、最低限度の修繕をしただけでした。

大雨の日などは宮殿内の骨董品や絵画などの貴重品を守るために、宮殿内で働く職員たちがバケツを持って走り回っている程、かなりの老朽化が進んでいるバッキンガム宮殿。それもそのはず、大掛かりな改築工事や模様替えは1950年以来、一切行っていないのです。

今回実施されたバッキンガム宮殿の家屋調査で出された修繕見積額は、最低でも1億5000万ポンド（約200億円）。今までイギリス王室が自腹を切って修繕費用を支払っていましたが、彼らでも全額を支払える額ではありません。

その為、今回はイギリス政府がいくらかの補助金を出すように協議が進められています。

補助金必要？王室はこんなにも資産を持っている！

しかし、この公表に反発しているのがイギリス一般市民です。

エリザベス女王には個人的な資産を公表する義務はないので憶測ではありますが、イギリス紙「サンデー・タイムズ」が2015年に発表したものによると、エリザベス女王の資産は約3億4000万ポンド（約451億円）にもなるのだそうです。

広大な土地と不動産を所有し、イギリス一の地主ともいえるイギリス王室だけに、彼らの不動産関連収入だけでも約60億円。しかし、現在では彼らの不動産収入は、イギリス政府が一度全額受け取り、その収益の15％が王室に支払われシステムに変更されています。

しかし、それでもかなりの額。過去4年間で王室が受け取った額は以下の通りです。

イギリス王室が破産！？王族の“甘い”資産運用に国民の怒りも爆発寸前

なんとも羨ましいイギリス王室の年収なのですが、このバッキンガム宮殿の修繕費を模索していた決算委員会が思わぬ事を発見してしまいました。なんとイギリス王室が破産寸前だったのです。

2001年の王室の“貯金”残高は3500万ポンド（約46億円）だったのに対し、今では100万ポンド（約1億3200万円）にまで減っていたのです。

政府の会計を担っている決算委員会の見解では、王室の資産計画と資産運用の甘さが原因であると指摘し、今後は財務省の指導の下での資産運用を推奨しています。

イギリス現政権は、以前に比べ予算を3割程削り大幅な緊縮財政を実施中。福祉関連費用に関しては、実に120億ポンド（約1兆5900億円）もカットしています。

国民全体が苦しい選択を迫られている状況の中、イギリス王室が行った過去5年間の節約率はたったの5％。イギリス一般市民がバッキンガム宮殿の修繕費を出したくない気持ちが分からなくもない数値となっています。

バッキンガム宮殿が博物館に！？

バッキンガム宮殿の改築費を公費で賄う事に反対する人たちの中からは様々な意見が出されており、その中には「博物館にすべきだ」というものもあります。

王室が他に所有しているより小さなお城への移住や、王室が夏にスコットランドのバルモラル城で休暇を過ごしている期間、バッキンガム宮殿は一般公開されますが、このたった2カ月の間で600万ポンド（約7億9700万円）以上の収益を得ているのです。

ならば、バッキンガム宮殿を恒久的に高価な絵画や宝石などを展示する博物館にすべきだ、という主張のようです。

また築300年以上の宮殿では年間の費用も無視できません。

1. 電気代・・・70万ポンド（約9300万円）
2. ガス代・・・100万ポンド（約1億3000万円）
3. 水道代・・・20万ポンド（約2600万円）
4. 電話代・・・20万ポンド（約2600万円）

イギリス人の平均年間光熱費は1267ポンド（約16万円）ですので、イギリス王室は実に2288世帯の光熱費を1年間に支払っている事になります。イギリスの一般市民にはとても理解できない金額です。

緊縮財政でホームレスや貧困者数が更に増加しているイギリス。やはり王室も何らかの節約計画を一般市民に公表しなければ、イギリス市民の不満が爆発し本当に、王室が無くなる日が来るかもしれません。

【参考URL】http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/queen-elizabeth-II/11694694/Queen-might-have-to-move-out-of-Buckingham-Palace-amid-151million-of-repairs.html
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/queen-elizabeth-II/10600671/Queen-down-to-her-last-million-due-to-courtiers-overspending-report-finds.html
http://www.theguardian.com/news/reality-check/2014/jan/28/how-much-do-the-royal-family-spend-and-are-they-down-to-their-last-million

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