旅にでることが決まったとき、予算というものが頭によぎらない人はいないのではないでしょうか。そのリストの最初に、必ずと言ってもいいほどのるものの一つはきっと宿代ですね
ホテルにしようか、それとも古い和風の旅館がいいか、温泉系の旅館がいいか。
海外だったらB&B(ベッドアンドブレックファースト)という朝食付きの民宿のようなところやホステル系だったら気軽に泊れて、相部屋になると値段がタダ近くまで安くなる宿、などいろいろありますね。
どこに泊ろうと思案するとき選、択肢はずっとそんなところに決まっていませんでしたか。しかし最近、またあらたにもう一つのちょっと変わった選択肢が現れました。
”見知らぬ他人の家”です。
「知らない他人の家に泊まる」
このあまりなじみのない考え方は、アメリカの西海岸で数年前に発案されました。
これは意外と受け入れられ、他人と一晩同じ屋根の下で寝てもべつにかまわない、という軽快なフットワークや、ホテルの受付の登録などを通さないスムーズな移動のしかたを重視する生き方が、アメリカ国内だけでなく全世界にまでどんどん広がり続けています。
エアーB&B(Airbnb)は2008年にサンフランシスコで設立された宿ウェブサイトです。その画期的アイデアが当初から人々の間で大受けし、世界中の192カ国3万3千もの都市までに拠点が一気に広がりました。
それは、ふつうの住宅の持ち主を非公式に宿屋の主人にするというアイデアです。
現在のCEOのブライアン・チェスキー氏とジョー・ゲビア氏がサンフランシスコで一緒に一つのフラットにルームメイトで住んでいた時、家賃が払えなくなりしかたなく自分たちの部屋のベッドを他人に貸し出し家賃を作ろうとしたという困窮の策が始まりでした。
そのとき彼らはゲストを3人迎え、エアーベッドで寝かせ、ハンドメードの朝食を作ってもてなしました。
民家を宿という発想は日本の民宿と似ていますが、違いは民宿のように決まった期間オープン営業するのではありません。
住宅の住人が自分の好きな時に好きな期間だけ貸す、もしくは旅行中部屋が空くのでその期間に誰か泊ってもいいよ、的な状況、もしくはベッドがあまってるから誰か泊らないか、というような感じなのでビジネスの形式が全く違います。
ウェブサイトは常にアップデートされ、そのとき部屋を提供している住人の部屋の写真と希望の値段が書いてあり、旅の宿を探してる人がそれがピッタリと来たら住人に連絡します。
これは、最近の世界の流行である『シェアリング』(共有)という流れから来ています。
より流動的で臨機応変な行動をとる生き方が好まれている傾向があり、エアーB&Bの提供するサイトの成功はその空気をつかんでいるためと思われます。
せっかく貯めたお金を投げ捨てるようなホテルへの多額の出費や、安いのはいいけど相部屋でその中で一人であることがますます孤独感を倍増させるホステルはなんかいやだ、と思う若者中心に利用者は増えています。
ビジネス中心の宿泊所などに感じる無機質な臭いがないこと、その気軽さ、連絡したら予想外の思いがけないアットホームな雰囲気で迎えてくれた、豪華な異国風の料理が出てきた、など体験の多様さも魅力なようです。
しかしその非公式な他人との金銭の受け渡しや施設の合法性に関して政府とのもめごともあり、いまだに社会的に正式に位置づけられるまでに時間がかかりそうです。
新企画
そのエアーB&Bが、政府とのもん着にもめげず展開しようとする新企画が、今また話題となっています。
今度はその宿屋の主人を、さらにアマチュアレストランのオーナー(ホストと呼ばれる)まで仕立てようとしているのです。ホストに申し出た人はホスト料金がもらえます。
見知らぬ人たちのために自宅を開放し、食事を作り料金をもらう、という発想も宿のアイデアに劣らず大胆であり政府の取り締まり官などおそれを知らないように見えます。
まだ実験的だとはいえ、エアーB&Bのこのレストランの新アイデアも今の時代の人々に気に入られ、おそらくとても人気がでると考えられてます。
CEOブライアン・チェスキー氏は”共有されるシティ”の発想のもとに繰り広げられているこのムーブメントについて、都市生活者にとっての新しい黄金時代の到来と語りました。
新しい経済が、水流のようにエアーB&Bが敷いた路線図のレールの上に流れるのです。使われない空間が無駄にならず、常に共有されていくことによってそれは可能になるのです。
都市というものは、もともと人が場を共有することによって成り立っています。それは古代での道ばたの十字路での取引からはじまり、共同作業および資源の共有によって成長しました。
しかし時代を経て人間は大量生産を生み出した。それまで私たちが近くに寄り添って生きて来た生活体系は変化し、機械による大量な生産と消費によって人と人の距離がいったん遠くなりました。
でも、また都市は人中心に戻ってきています。私たちは、またこの共同作業を再び形成しようとしているのです。』
もしこのレストランの新企画も成功し、エアーB&Bが全世界にもっと大人気になればもう政府は食い止めることはできなくなるでしょう。政治家は何か人気が出ると、それを批判することができないです。
なぜなら政治家は、あくまでも住民のサイドでいなければならないからです、
政府の攻撃
しかしまだまだ政府も負けていないようです。
サンフランシスコウィークリーではサンフランシスコの市議会の健康部門の長リチャード・リーがエアーB&Bのホストが許可無しに食物を売るのは完全に非合法で、これを侵すものは3000ドル以内の罰金だと述べています。
たしかに、衛生ガイドライン上のチェックが行われている正式なレストランで食事をするほうが健康上の安全は守られます。そのほかにも政府がエアーB&Bの運営を攻撃する理由はたくさんあるようです。
これからも彼らの活動はこれ以上従来の慣習とぶつからないように方策がはかられ、続けられていくでしょう。
たとえばニューヨークでは司法長官とは貸間の規約についてにらみあいが続く中、一方ではサンフランシスコ、オレゴンのポートランド市のリーダーとは、ホテル税の免除までの合意を勝ち取っています。
『これからの何か月もしくは何年間は、都市と都市が結びあいパートナーを増やして行くことが目的だ。』とチェスキーは書いています。
これからの数年間で最終的に行き着くところは、おそらく宿や車や食事のシェアについての法律だけの問題だけで収まらず、”シェアリング”自体の権利そして責任についての対決に至ることが予測されます。
今までのように、ふつうにホテルに泊ったりレストランで食事をすることが当たり前でなくなる時代が来るのでしょうか?
人々の声を聞いてみましょう。
【参考URL】https://www.airbnb.co.uk/experience/san-francisco?category=eat-with-locals
http://en.wikipedia.org/wiki/Airbnb
http://www.wired.com/2014/06/airbnb-dinner-sharing-risks-wrath-in-quest-thats-much-bigger-than-just-rooms/
http://www.veooz.com/topic/airbnb.html
http://www.grubstreet.com/2014/06/airbnb-supper-clubs.html
https://www.airbnb.co.uk/
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ずいぶんビジネスにしてはワイルドなアイデアだな!
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自分の部屋なんだから、そこを誰かに貸したり食事をさせたりでお礼をお金でいただくのは普通に許されるべきよ。
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最近日本から1991年に英語の生徒だった人が訪ねて来たんだ。
ぼくは400km走って空港まで迎えに行った。彼らに一週間の宿と食事を提供したんだが、一週間がおわるとまた400kmをかけて彼らを空港まで送り届けた。
いい時間を過ごしたし、お礼といって彼らはぼくに贈り物をくれたよ。
そういう感じのことだろ?ぼくはとっくにやってるさ。
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政府は食品を扱う仕事には厳しいと思うよ。
人がレストランで食事をしても病気になったりしないのは、頻繁に検閲を受けているからだよ。
僕らもオレゴン州ポートランドでレストランを経営してるが、いまのところ朝食を出すまでの許可しか降りていない。キッチンの設備が十分でないと言うことだ。
誰も政府のルールにしたがうことなんて、好きじゃないさ。でも、こういうルールが敷かれることは理にかなってるんだよ。
エアーB&Bが小さかった頃は、きっとそういった監査の目から逃れてやって行くことができたかもしれない。でも、もうここまで大きくなったからいろいろぶつかっているんだと思う。
僕がエアーB&Bをやっていたらきっと宿のホストに保険に入ってもらい、なにか食中毒などの事故が起きたとき、それで対処できるように信用度をあげるかな。
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これはけっこう数の問題なんじゃないかと思うよ。
もし一日300人を相手に営業するのはけっこう衛生上の問題は大きいと思う。でも個人の家の小さな数のシェアならさほど問題ではないのでは?
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僕はベイエリア(カリフォルニア州のサンフランシスコ周辺)に住んでるんだが、もうずいぶん前から地下に住んでるシェフたちの家で食事をとってるよ。そこのシェフたちはそれぞれ自宅を開放してるんだ。
だからこういうエアーB&Bのやってることは僕にとって普通、もう10年以上ずっとやってること。倹約メニューから豪華な6コースメニューまでいろいろ楽しんで作り楽しく食事をする。
何も新しいことじゃない。
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↑正式レストランよりも、誰かの家のほうが安全かもよ。
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私はときどき招待されるパーティーの食べ物も、家族のイベントの食べ物も家族の野外パーティーも全部もう飽きあき!かといってレストランにいって食中毒起こしたこともあるし。。
大人数の人をまかなうビジネスための法律を設定する必要はわかるけど、個人の家での食卓に関する法はなんか馬鹿げてると思う。
でも、いくつのグループの人々に食事を作るかにもよるんじゃないかしら。
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↑ベイエリアには自分の家だと思ってる、家ネズミやドブネズミも多いわよ!ハローネズミちゃん。
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↑あと非常口の確保も必要だよ。そういうことも商業規則。
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↑やだ、話がどんどん出口無しミステリーの様になって行くわね笑。
火災報知器、大人数のグループになったらドアの数の問題もあるわよ。
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↑僕は自分の家にさえ住むのを許されなくなりそうだ!!
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ゲイの結婚と同じで、それが好きな人にはやらせればいいんじゃないの?
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↑はは、面白い、ゲイね。ぼくはけっこうこういう’シェアリング’っていうやり方は前からやってたよ。
どこに旅行をするときでも知り合いのネットワークを持ってて、ホテル代を全くかけずに友だちの家を渡り歩くとかさ。
それからもうすたれたと思えるツール、’電話’をかけていつそこに行くかの連絡をする。
それから、知り合いたちと食べ物を持ち寄って大テーブルを作り、みんなで一緒に食事をするっていうのはもう何年もやってる。そこでは誰もが新しく知り合った人を連れて来たりするんだ。
ウェブサイトなんて要らない。
このシェアリングというアプリケーションを持ってると強みだぜ。
新しい人たちと知り合うのは難しいという思い込みが消えるからね。
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政府からの人々の活動に対する’つぶし’の例は星の数ほどもあるよ。慣例的なものを保存するためだ。
でもネズミの糞のチェックは別なんじゃないかな。
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↑面白い。私は20年間妻に食べさせてもらってるが、一度もネズミを家の中に見たことはない。友人宅で食事もするがネズミがいた家は無い。
唯一ネズミをみたのは政府の監査下のレストランでだ!
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エアーB&Bがきちんと法に乗っ取って順調に成功して行っても、それはそれでいつか行き詰まると思うわ。人は忘れるから。
規則を守らなかったり、堕落したり、慣例的にまた超過労働とかの問題とか出たりするんじゃないかしら。
バランスをうまくとる必要があると思うわ。
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この会社のやってることが非合法なら、法律のほうを変えるべきだ!
慣習的なレストランの競合のほうがずっと腐っている。食物安全規約などと締め付けてくるのはよせ。正式なレストランでも腹痛はしょっちゅう起こっている。
いかにも正当なことを言って締め付けようとするが、これはなんの話かというと、税金なんだよ。
ホテルが経営できるために、たくさん税金を払わなければならないように。
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街はどこに行っても、あらゆる種類のレストランやビストロで過剰にあふれかえってる。
ぼくの知り合いは、もうとっくにエアーB&Bのホストを非正式にずっとやってるんだが、よく誘われる。
『ヘイ、今日はホタテ貝でレッドカレーとクスクスを作るんだけど食べにくる?』って。返事はもちろんYes。
そうすると、彼はそれにかかるコストをなんとか換算し誰が来るかを念頭に置く。通りでレストランを開く人たちは、そんな仲間意識よりも儲けの楽しみでやってるんだろ?
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香港にはそういう感じのところがすでに数件あるよ。
ちっぽけな店の上の階の住人がレストランをやってたり。たいてい居間の小さなテーブルに6人かけくらいで部屋はそれだけ。そして食事がそばにあるちっさいキッチンで作られるんだ。
香港ヒップスターたちが、それらがどこにあるのか知ってるのさ。
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僕のすごく好きなレストランが大阪にあるんだ。一軒のアパートの中なんだ。キッチンのまわりにバーのように座れるようになっていて、小さな居間にボックス席が設置してある。
上の部屋は私部屋なんだけどコーヒーテーブルが置いてあってソファで”プライベートな時間”を過ごしくつろげるようになってる。
障害者用の設備はないから彼らには不向きだ。キッチンは商業用でなくほんとに家庭用で小さい。
アメリカでは、カクテルを作るライセンスをとることもできないほど小さい。もちろん広告も出していない。
こういうことは知り合いでなければ行けないところだ。電話番号を知らなければ存在も知らない。
そこではアメリカでは違法で決して食べられないようなものも、ときどき出るんだ。クジラとか馬とか。
日本ではそれが合法だし、日本人は1.5人で素晴らしい料理を完璧にマッチした酒と雰囲気で迎えてくれるんだ。
その品質の仕事はアメリカではあり得ないぜ。
もしアメリカだったらすぐ金を持ったやつが現れて、あっという間に200人席のでかいレストランを作り、ピーナッツ畑で働いてる労働者をかき集めてマクドナルドのような安給料を与えるんだ。
そして、自分の金儲けのためだけに働かせるんだろう、と思う。
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↑わお、そういう場所オレ、キルビルの1の中で見たぜ。
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↑1.5人ってどういうこと?
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↑奥さんは一日働けるけど、だんなさんは平日外で働いて週末だけ手伝うから。
まとめ
人は今、人を求めているのかもしれません。サンフランシスコから始まったこのムーブメント、新しい時代の生活様式がかいま見れるようですね。
人と物や場所、時間を共有することについてあなたはどう考えていますか?