大学といえば、日本では高校の後に進学する場所として一番多い学問の場です。そして、それは海外でもあまり変わりません。
多くの学生が研究をするために進学し、高い学費を払って自分の知識をつけ、卒業後には就職、という流れを過ごすために通います。
大体どこの学校でも研究のための設備が整っているのは同じ。パソコンやインターネット環境、広い教室や照明、黒板といったものを整えることで、学生の勉強に不自由がない環境を整えてくれます。
例えば芸術系の大学や学部なら、撮影用のカメラ、彫刻用の材料や道具、演奏に必要になっても個人で用意が難しいパイプオルガン等、その設備は多岐にわたります。
そんな中、アメリカのとある大学ではとても変わった設備がありました。それがこちら。
…某アニメ作品のキャラクター銅像です。それもフルセット。
見た感じ、どうも大学の図書館か寮の談話室にありそうです。でもニンジャタートルズの銅像を購入することが、どのように研究に役立つのでしょうか。
どうも芸術系とか工芸関係の部屋でもなさそうだし…。写真をポストした人も「うちの大学、とってもイカス経費の使い方してくれるわ」だとか。
この写真を見た人たちのコメントも様々です。いくつか例を見てみましょう。
【参考URL】http://www.reddit.com/r/funny/comments/1ca9sw/good_to_see_my_university_is_spending_its_money/
http://imgur.com/4JRtpZ5
-
それ学校がイカス経費の使い方したんじゃない、大学がイカス私物を買っただけだ。
-
どう考えてもこの設備投資は…信念を感じる…
-
1円だって大事なんだぞ…
-
来年の授業料が楽しみだな
-
いったいどこでこんな像が買えるんだろう…どんなにインターネットで探しても見つからないぞ…
-
「本日のニュースです。授業料は13%上がり、奨学金の積立金はカットされることが決定いたしました」
-
ごめんなさい、今期は授業料の援助はどうしても出来かねます。出直してきてください
-
俺も別の像に見られ続けて勉強したけど、毎日肩を見られて、一歩一歩を眺めて。最高じゃないか。
-
卒業生が出したんじゃなかろうか。
-
国からの予算を減らされないようにするためだろう、きっと。いくつかの学校では国からの予算を取るのに必死だしな。
-
なんたる無駄遣い。どうせなら頭からランプの出る馬の銅像でも買えばよかったものを。
-
こういうのはだいたい寄贈品だよな。
-
頭いいな…これでガードマンが要らなくなるぞ…
-
いい投資じゃないか。ホフストラ大の芸術を見てみろよ。緩衝材6個を溶接したところに、黒い線が一本引いてあるだけのものが飾ってある。それよりマシだ。
-
うわ…こいつは俺に余計に勉強させそうだ。
-
文化的に学べるしすばらしい。いい買い物だよ。
-
これって別にサーカスみたいな騒ぎすることでもないんじゃないかな。他の大学にあるような変な形の彫刻よりよっぽどいい。同じ5万ドルなら。
-
だまるがよろし! 学校にとってすごいいい投資じゃないか!
-
いくらかかったんだろう…自分の大学に提案するぞ。
-
これは…アミューズメントパークの一種かな? それとも大学かな?
銅像の謎
好意的なコメントと学校の判断を疑うコメントとが入り乱れています。アニメのキャラクターを学問の場に設置するということがあまり受け入れられていないという現状と、それでもわけのわからない形のものよりはマシな出費だと判断する人といるようです。
実は、これは図書館に置かれた彫刻のようです。
マサチューセッツ大学アマースト校のアジア文化の棚付近に設置されており、ニンジャ=日本=アジアだからだろう、とのこと。なんとも不思議な理由です。芸術関係の建物にはありませんでした。
ちなみにマサチューセッツ大学の図書館は世界で2番目に高い大学の図書館とのこと。しかも、マサチューセッツ大学といえば、アメリカでも名門大学が名を連ねるボストンの大学、学生数も多いものです。
それだけの学生がいれば、この程度の買い物は余裕なのかもしれません。
さて、設置したのは果たして大学の購入でしょうか、それとも寄贈でしょうか。
答えは寄贈だったようです。
ピーター・レイド氏が寄贈したもののようです。ピーター・レイド氏は1976年の卒業生で、銅像になっているキャラクターのアニメ原作者の一人。
1980年代の早いうちに作られたもののようで、レイド氏の作品はTV、コミック、アニメ、ゲーム等で非常に売れていきました。銅像と大人気のどちらが先かはわかりませんが、おそらく人気になって売れたお金で作られたのではないでしょうか。
アメリカでは変わった銅像が寄贈されることも少なくはなく、例えばセントルイス大学ではビリケン像があったり、ハーバード大学には創設者の像があったりします。
それでも今回のアニメの銅像は比較的ユニークなもの。図書館にアニメのキャラクターが勢ぞろいで設置されているのだから。それも、その中の1体がストリップみたいな恰好だ、と騒いでいる人もいりようです。
こうして風変りな銅像が騒がれることで、アニメのキャラクターが有名になるのは、作者としては嬉しいところでしょう。
知名度が上がればさらなる人気もつながりますし、そうなれば今度はグッズがさらに売れます。単純に母校に寄付をするより頭のいい発想かもしれません。とはいっても、やはり本当に人気を上げるためには一般の施設に送る方が利益は出るでしょう。
作者は何が目的なのか、私にはよくわかりません。単純に寄付をしたいなら現金の方が有効だと思うのだけれども。まあ、在学生やOBにとっては、これを見ることで応援しよう、という気にもなるのかもしれません。
そして、やっぱり気になるのはこの銅像の製作費。インターネットでは「同じ5万ドルを使うなら」という声もありましたが、5万ドル(500万円程度)で作ることなんてできるのでしょうか。
どうみてもしっかりした銅像ですし、小さいとはいえ4体も型から作るとなると相当大がかりなはずです。もう少し、高いような気がするのですが…
何はともあれ、マサチューセッツ大学アマースト校はこれで警備いらず、というわけにはいかないようです。
マサチューセッツ大学アマースト校では、アニメのヒーローが守っていても、毎日警備員の警備が整っているとか。この銅像が図書館の21階を守り、本を守ってくれていることを祈りたいものです。
そうすれば、事情を知らない学生にも「変な像」ではなく、「守護神のヒーロー」として、大学の支出を疑われるようなこともなくなるものでしょう。