手厚い社会保障制度 があると言われているドイツですが、２００５年に生活保護の受給に関しての大幅な改定があり、条件が厳しくなりました。そして先日はある町の職安がとんでもない決定をして話題に。

職安が２人の子供を持つシングルマザーに1,78ユーロ（250円)家賃が安い住居への引っ越しを要求

ドイツのゼーゲブルグにある職安が、２人の子を持つシングルマザーに対し、生活保護の規定より1,78ユーロ家賃が高い事を理由に、他の住居への引っ越しを命令しました。

ドイツの職安が２人の子供を持つシングルマザーに、第２種失業保険（生活保護）の規定家賃を1,78ユーロ（250円弱）越えているとの理由で、安いアパートに引っ越すか、下宿人をおき家賃を規定内の額に納めるように命令しました。もちろん生活保護の受給者が職安の命令で引っ越す場合には、その引っ越し費用は国が負する事になります。

月額250円の差額の為に多額の引っ越し代金を国が負担するのは、税金納税者から見ればとんだお金の無駄遣い。しかしそんな事は関係ないといった職安の態度。生活保護の規定では家賃について『利点がない矛盾した引っ越しはする必要なし』との例外も認められています。機械作業的なお役所仕事に非難の声が集まっています。

対象者	2014の支給額（ユーロ）	世帯主を基本とした支給割合
独身者、一人親、未成年のパートナーを持つ者	391	100%
成人のパートナーを持つ者	353	90%
２５歳以下で職安の承諾なしに親の家を出て生活している者	299	100%
２５歳以下で親と同居している者	313	80%
１４歳から１７歳までの子供	296	80%
６歳から１３歳までの子供	261	70%
0歳から5歳までの子供	229	60%

世帯主が受ける支給額391ユーロの内訳は以下の通りです。

内訳	2014の支給額（ユーロ）
食品・飲料・タバコ	138,83
衣服・靴	32,85
電気・水道	32,68
家具・家電製品	29,63
薬・衛生	16,8
交通費	24,62
通信費	34,53
余暇・社交・文化活動費	43,17
合計	391

その他にも片親手当などの特別手当もあります。

ドイツでは生活に必要な家電品・家具は中古品をただ同然で支給してもらえたり、医療費や教育費も無料となっています。実際に生活保護をもらいながらも、新型の薄型テレビやゲーム機、食器洗い器や乾燥機等の電気製品を所持し、安いお給料でやりくりして生活している人より良い生活をしている場合もあると言われています。しかしこの新しい生活保護制度は、より多くの貧困層を生み出しているとの批判の声もあがっています。

２００５年にそれまでの生活保護を見直して改定されたこの新しい生活保護（第２種失業保険）の目的は、生活保護に頼らず自分で収入を得る意欲を持たせるとの意図がありました。つまり生活保護の受給者でも収入があれば、基準の生活保護支給額から収入分を引いた差額分の生活保護額が支給されるのではなく、基準の生活保護支給額に収入額をいくらか上乗せできるとしたのでした。しかし実際は貧困にあえぐ人の生活はより厳しくなり、そこから抜け出せないというパターンが多くなっているとの事です。

ただし生活保護を受給している人の中には、十分な収入がありながらも生活保護を不正受給して、余裕のある暮らしをしている人もいるのです。税金の高いドイツでは、塗装や改装などの職業分野では、個人的に依頼主と口裏をあわせ、税金申告なしの仕事をしてお金を得ている人も少なくないのです。依頼主も出費を抑える事ができるので、Schwarzarbeiter（黒い労働者 = 税金逃れの労働者）に頼むのです。もちろん収入がありながらも生活保護を受給している人に対しての納税者からの不満の声は絶えません。またその裏には多くの移民問題なども関係していて、大きな社会問題となってるのです。

ベンツやBMWにのり、１年に１回は必ず海外で数週間バカンスを過ごす有福層と、数百円の家賃の差で引っ越しを強制させられるシングルマザー。ドイツの貧富の差はどんどん大きくなるばかりです。

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