もしかして損してませんか?
突然ですが、すでに株式や投資信託を保有されている個人投資家の方に質問です。上場株式等の譲渡益に対するご自身の税金がどのように支払われているか、ご存じでいらっしゃいますか?
「確か特定口座に入っているから、税金は自動的に支払われているはず!」と思われた個人投資家の皆さん。アナタがもしサラリーマン投資家さんなら、損をしている可能性がありますよ!?
一般口座と特定口座
金融機関で上場株式等の売買を行う場合、
②特定口座(簡易申告口座)
③特定口座(源泉徴収選択口座)
の3種類の中から取引口座を選択して取引を行います。
①の場合、年間の譲渡損益をご自身で確定申告する必要があります。
②と③の場合、取引金融機関が代わりに損益計算を行い、年間取引報告書を各自に郵送してくれます。②の場合、送られた年間取引報告書を添付することで、簡単な確定申告が可能になります。
③の場合は、譲渡益が発生した場合に金融機関が自動的に源泉徴収を行うため、確定申告をする必要がありません。(もちろん、譲渡損の繰り越し控除や他金融機関の口座との損益通算を行いたい場合、確定申告を行うことも可能です。)
自営業者で確定申告に慣れている方、特定口座制度が始まる前から取引を行っていた方は、①の一般口座での取引をされているかもしれません。一方、上場株式等の取引が初めての方、会社員で確定申告をする必要のない方の場合、金融機関の多くは③の特定口座(源泉徴収選択口座)を勧めている可能性が高いです。
源泉徴収されなければ…
現在、上場株式等の配当・譲渡益に対する源泉徴収税率は10%とされています。たとえば年間の譲渡益が20万円だった場合、2万円が税金として自動的に徴収されているのです。
ところが、所得税法第121条の『確定所得申告を要しない場合』として『給与所得者で給与等の金額が2千万円以下で、給与所得以外の配当所得などの所得が20万円以下の人は、原則として申告を要しない』という定めがあります。
つまり、②特定口座(簡易申告口座)を選択されている方でサラリーマン平均給与くらいの方は、20万円以下の譲渡益なら税金を1円も取られることなく全額受け取ることができるということです。もちろん、③特定口座(源泉徴収選択口座)を選択されている場合も確定申告をすれば税金が還付されます。ただし『確定申告をすれば』という話です。
現在はe-Taxにより以前より確定申告も簡単になりましたが、書類の準備・作成等も合わせるとかなりの労力を要することなることでしょう。
後学のため以前筆者も確定申告を行いましたが、かかった時間を考えると、時給200円くらいの還付金しか受け取ることができませんでした。苦い思い出です。
こんな方におススメです
給与が年間2000万円以下のサラリーマン投資家さんで、年間取引額があまり多くない方は②特定口座(簡易申告口座)を利用された方が利益が増える可能性があります。ただし、20万円以上の譲渡益が発生した場合、必ず確定申告が必要になる点はお忘れなく。
現在③特定口座(源泉徴収選択口座)を選択されている方でも、源泉徴収区分変更の手続きを行えば変更することができます。詳細については、各金融機関へ直接お問い合わせください。
ちなみに、今年に入ってから特定口座内で売買を行っている場合には、年内の変更手続きは行えませんのでご注意ください。