日本の報道で盛んに「経済が成長し続けるドイツ」という文章を目にします。ドイツに住んでいる私は、そんなニュースを見るたび「ああそうなんだ・・・」とぼんやり思います。

というのも私個人、日常生活でそこまでドイツの経済成長っぷりを実感する機会が無いというのが正直な感想なのです。

しかし全くないというと嘘になります。例えば街を歩いていて、日本でよく聞く「不景気そうな顔しているな～」といったネガティブな雰囲気というのは感じません。

東京に住んでいた数年間は、（メディアに刷り込まれたからというのもあるでしょうが）「みんな深刻そうな顔して歩いているな～」と考えた事ありますが、ドイツではあんまり感じません。（ホームレスはいつも悲しい表情をしていますが）

スペインやイタリアなどの、もっと経済的に深刻な他のヨーロッパの国の様子を見た事が無いのでとても感覚的な意見になってしまいますが、ドイツの街を見ていて“深刻そうな顔”という雰囲気は当てはまらないのは確かです。

今やドイツはEUのリーダー的存在になり、経済も好調そのもの。中規模以上の都市だと各地で新しい工事が行われていて、街が生まれ変わっていくのを見ている気分になります。

例えば首都のベルリンは、工事が完成して未来的な景色になった地区もあれば、駅を降りたら目の前で大規模な都市改造レベルの工事が行われていたりと、その様子はより顕著になります。

冒頭で「あんまり経済成長を感じない」とか書いておきながら、いくつか情報を書き連ねてみたら、意外と身の回りに実感できることがあった事に改めて気づきました（笑）

ドイツのニュースでも好調な経済を取り上げたものを頻繁に見かけます。その中に、ドイツ人の個人資産が急激に上昇しているという記事を見かけました。

いったいどのくらいの規模で、好調な経済が個人資産に影響を与えているのか気になる所です。今日はこちらのトピックスについて紹介したいと思います。

うなぎ上りの個人資産

ドイツ人の財産は今年に入ってから新記録を達成するほど上昇を遂げました。

ドイツの国立銀行は、個人資産が2015年の第一四半期（4月～6月）で前四半期（1月～3月）より2.8％上昇したと発表。金額にすると1400億ユーロ（約18兆9000億円）に相当するそうです。総額5兆2120億ユーロ（約704兆7000億円）まで上昇した事になります。

現金、預金による資産は、保険に対して530億ユーロ弱（約7兆800億円）の上昇がみられました。国立銀行によると、強固な労働市場と収入額が上昇した事を受け、多くの人が再び多くの金額を貯金できる様になった事を理由に挙げています。

さらに、個人の投資資金と株の割合は前四半期（1月～3月）と比較すると870億ユーロ（約11兆6200億円）の高い利益が発生したそうです。

個人資産が増えた理由とは

今回の資産の統計において、不動産と美術作品での資産運用は含まれておらず、どのように資産を分配したかは研究報告では明らかにはなっていません。また、他の公表された情報では、ドイツの財産は不平等に分配されているとの見解も明らかになっています。

ドイツの国立銀行によると、低い利子にも関わらず個人の資産は銀行によって優遇されているそうです。

大きな資産が生まれた大きな理由のひとつとして、今年の始めに予算を265億ユーロ（約3兆5400億円）増額された、保険と年金に対して損失の不安が高まったからと言われています。

ニュースをさらっと読んでも、ものすごく明るい景気だという事が伝わってきます。これほど明るいニュースは日本ではなかなか見る事が無いような気がします。こんなに個人資産が高まれば、将来の不安を抱える事は無くなりますね。

しかし一方でこういった状況に少し違和感を感じてしまいます。というのも、私は長い間日本で生活していて、物心ついた時にはバブルが崩壊し日本の景気が急降下した、という一連の流れを目の当たりにしているからです。

バブル崩壊後の日本で育んだ価値観を持って経済が好調な国で生活した自分が、不必要に懐疑的にドイツの状況を見ていた事にはっとしました。もう少しフラットな感覚でこのドイツ経済の様子を眺めてみたいものです。

そんなドイツのニュースを見て海外の人はどのような反応を示したのでしょうか？一部コメントを抜粋して紹介したいと思います。

ドイツの経済は明るい？

コメントをみると、一部の人が恩恵を受けているような話が多くみられました。たしかに世界中で富が二極化しているという話は有名です。でもやはり、景気が良い事は素晴らしいですし、どのコメントからもその様子は伝わってきました。

ただドイツの抱える問題として、膨れ上がる難民により、そちらに割かれる予算の金額が膨大になっている事が挙げられます。

またEU参加国としてギリシャ、ウクライナをはじめとした経済が傾いている国を無視する事はできないですし、場合によっては援助しなければなりません。

こういった背景により、この景気に陰りが差す可能性もあるので慎重になっているドイツ人も大勢いるでしょう。

とはいえこういった豊かな話を聞くと、日本でもこういった状況を見てみたいと思いました。子供の頃見た、豊かな頃の日本の都会を描いたドラマ、映画。あれはもはや過去の話だったのかな～と考えてしまいます。豊かな時代がまた来てもらいたいものですね！

【参考URL】http://www.spiegel.de/wirtschaft/soziales/reichtum-in-deutschland-private-geldvermoegen-steigen-rasant-a-1044451.html

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