「まいどバカバカしい…」なんて古いですが、私は「落語大好き人間」です!
桂南光の「らくだ」
昔昔亭桃太郎の「裕次郎ものがたり」(←これって落語かな?落語+漫談という感じ)
五代目三遊亭円楽の「芝浜」
桂文珍の「蔵でっち」
などなど、どちらかと言えば「上方落語(関西の落語)」の方が好きですね。江戸の人情話も面白いですが、どうしても笑える上方落語を多く聞いてしまいます。
さて、落語家というお仕事は江戸時代から続く伝統芸能ですが、お給料の仕組みをご存知でしょうか?知られざる落語家さんの「お財布事情」をのぞいてみましょう!
噺家さんの身分
師匠に入門してすぐに高座に立つことはありません。どの世界でも同じですが、まずは「見習い」から始めるんですね。見習い期間を終えたら、次は「前座」という身分が与えられます。ここで初めて、協会に自分の名前を登録することができ、晴れて「落語家」として名乗れるわけです。
そして師匠に認めてもらえれば、次は「二つ目」になります。見習いとして入門して、二つ目になるまでには6~7年ほどかかるそうですな。さらに二つ目として10年ほど修行を重ねれば、そこで初めて「真打(しんうち)」という「身分としての最高位」に就くわけです。
寄席に行って最後に登場する人を「トリ」と言いますが、「トリ」を務めることができるのは真打だけなんですね。
ワリのシステム
さて、上記で紹介した身分のうち、見習いはもちろん、前座でもお給料はほとんど出ません。時折、師匠からお小遣いをもらう程度です。だって、見習いは師匠の身の回りの世話をするだけ、そして前座であっても、寄席の「下足番(お客さんのクツを管理する人)」や「切符切り」しか任せてもらえないのです。
まだまだ人前で芸を見せるほどの身分ではないため、「ギャラ」なんて発生しません。なかなか厳しい世界なんですなぁ…。実際に寄席の高座に上がれるのは、「二つ目」に昇進して以降です。落語家たるもの、やはり芸を人前で見せて始めてお給料がもらえるというものです。
そんな寄席では、たいていは「ワリ」というシステムが存在しています。これは「高座に上がった人で売り上げを分配する」という意味であり、キャリアや人気などで「取り分」が変わってくるんですよ。
たとえば、1回の寄席で200万円の売り上げが上がったとします。そこから経費を引いて、残りを出演した噺家さんで分けるのです。もちろん最後の方に出るほど取り分は大きくなり、「トリになったらギャラが倍になった…」ということも珍しくないのだそうです。
ちなみに、高座デビューしたての頃は「ギャラ数百円」もあるんだとか…。まぁ、「僅かでもお金をもらいながら勉強している」と割り切る気持ちが大切なんでしょうね。
ギャラが数百円!?
でもワリの割合に関しては、明確にルールがあるわけではありません。何となく、「この人だったらこれだけ」のように「暗黙の了解」になっているんですよ。
それに師匠の「鶴の一声」で、その日の取り分が変わることもあります。たとえば師匠が、「今日は若手に多く分けてやってくれ」と言うと、その日の寄席では若手の取り分が大きくなります。
6代目円楽師匠なんかがそうですよ。師匠はテレビ出演も多くしていますし、全国を飛び回って独演会だってやっています。なので、収入面では全く困らない人なんですよ。したがって寄席を「勉強の場所」と割り切り、自分の取り分を低くしているのだそうです。その分、若手に大きな取り分を与えて、「その代わり、そのお金に見合った芸をしなさいよ♪」と「愛のあるプレッシャー」をかけているんですね(←かっこ良い!)。
それでも寄席だけでは生活ムリ!
テレビで観るような有名な落語家さんならまだしも、キャリアを積んでいるものの、なかなか日の目を見ない噺家さんも多いのです。現在、プロとして活動されている落語家さんは「約700人」と言われていますが、テレビなどに出て収入が安定している人は一握りなのです。
でもキャリアが長く、日々の勉強も欠かさないので腕のある方が多いんですよ。そのような方の場合は、「営業」が主な収入源となります。だって寄席のギャラなんて、たとえキャリアが長い人でも「1回数千円」という方が多いのです。そりゃあ、生活は無理ですな。そこで企業や個人から協会に依頼があり、無名でありながらも腕のある噺家さんが派遣されるわけです。
良いシステムですね。頼む方からしても、「有名じゃないけど、腕のあるプロの落語を楽しめる。しかも出演料も高くない」となります。また依頼を受ける側としても、「ワリではなく一人占め」なので、1回高座に上がるよりもはるかに高いギャラを手にすることができます。
ちなみに、私が住む近所の商店街のお祭りで、毎年落語家さんがやってきます。有名な人ではないのですが、それでもプロの落語は面白いですよ。ギャラも10万円ほどなので、ご近所との集まりの時に余興として依頼するのも良いですね。