仕事も恋愛も、順調とは言わないまでもがむしゃらに頑張っていたある日、突然予期せぬ体調の不良。
今まで追っていた夢や、綿密に立てた旅の計画や人生設計が、一瞬にして変更せざるを得ない事態となり、先の見えない猛烈な不安に襲われる事と思います。
特に心配なのが、日本人の2人に1人はかかると言われる、日本の国民病“がん”の告知ではないでしょうか。現在では、早期に発見されれば怖くない病気だと言われていますが、それでもがんを告知されると進行の段階はどうであれ怖いものです。
がんは死亡原因第一位。日本人はがんとどう付き合うべき?
厚生労働所の調べでは、平成26年に何らかの原因で死亡した人は127万3004人。そして、その内の28.9%にあたる36万8103人が悪性新生物、つまりがんで亡くなっています。がんは日本での死亡原因の第一位となっているのです。
男性3人に1人、女性4人に1人が、がんで命を落としています。しかし新しい治療法の開発などで、がん患者の生存率は年々伸び続けています。
全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)は、以前「5年生存率」、つまりがんと診断されてから5年経過しても生存している人の割合だけを公表していましたが、今年1月末からは日本で初めてがんの「10年生存率」を発表しています。
しかしがんの生存率が伸びると、やはり悩むのが仕事への影響。治療に合わせて仕事を調整したり、入院治療の為に長期の休暇を強いられる事もあります。
ガン情報サービスの調査では、がんを宣告された人の4分の1は退職、そして半数近くが所得の減少を余儀なくされたという結果を発表しています。
ピンチはチャンス!病気に襲われたからこそ起こる転機
しかし、がんに限らず大きな病気を患い人生のどん底に落とされたものの、それをバネにしてビジネスチャンスをつかんだすごい元患者がいます。
余命を告知された人、一生病気と隣り合わせの人、病状は様々ですが、生死の境をさまよった末に手に入れたビジネスチャンスです。
ここで現在大成功を収めている企業家3名を紹介しましょう。
①Keep Tree 最高経営責任者(CEO):ジョン・ロウ
Keep Treeは録画したメッセージを、指定した人と日時に送信するサービスです。
これを開発したジョンさん(44歳)は、ある日突然、体調の不良を訴え医師に診てもらうも、抗生物質が効かず余命数カ月との宣告を受けます。
その時、彼の子供は8歳と5歳。ジョンさんは、自分の死後、自らの父親の記憶をほとんど持たず成長していく子供達が気になっていました。
伝えておきたい事は沢山ありましたが、彼らはまだ幼い。年齢に適した時期に伝えたいと、子供達の年齢に合わせてメッセージを録画し、時期が来たら子供達に手渡すように彼の妻に伝えておきました。これがKeep Treeのビジネスアイデアの始まりです。
幸いにもジョンさんの体は抗生物質に反応し一命をとりとめ、病状が回復後の2011年に同僚の中多広志氏と本格的に事業を展開しました。
500万ドル(5億1000万円)の投資を受け、2013年にニューヨークと東京で開業してからは個人だけでなく、米軍や医療研究機関、民間企業も採用する大企業へ成長しています。
②Vanilla Blush 創設者:二コラ・デイムズ
Vanilla Blushは人口肛門袋を着用している人専用の下着販売サイトです。このサイトを創設した二コラさんも、10年前から人口肛門袋を着用していました。
しかしニコラさんは、普通の下着では付着している袋が見えてしまい、全くセクシーではない事が不満でした。
そこで、2008年に自宅のキッチンで自ら作った12種類の下着を販売。今では200種類もの女性用・男性用の人口肛門袋着用者専用の下着や水着を販売し、世界中からオーダーが寄せられる、年収1000万ポンド(約12億6000万円)の企業へと拡大しています。
③Not Another Bunch of Flowers 創設者:アニカ・バートン
Not Another Bunch of Flowersは、特にがんを患った方への贈り物に特化したオンラインショップで、アニカさんが5年前に乳がんを宣告された時に思いついたビジネスです。
乳がん治療を終え、入院先の病院から自宅に帰ると、枯れた花が山ほど置き去りにされているのを目の当たりにします。この花はアニカさんへのお見舞いの花だったのですが、感染症のリスクがあるとして病院から拒否された花だったのです。
これに驚いたアニカさんは、乳がんの治療後の2013年に1万5000ポンド(約190万円)を投資して、自らの経験をもとに、特にがん患者やその家族が貰ってうれしいものや、役に立つものを販売するオンラインビジネスを始めます。
今や彼女のサイトでは530以上のギフトやカード、そしてがん患者でも使用できる化学物質が含まれていない美容品などを販売されており、年間売り上げ33万ポンド(約4100万円)の企業となっています。
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自分も酷い喘息で死にかけたことが何度もある。家族の為にメッセージを残すのは素晴らしい案だと思う。
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家族のために写真ではなく、動画を残せるのはうれしいね。
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幼い子供を残して去るのは辛い事だけど、これも人生。死後に行き残った家族にいろいろ影響力を与えるのはおかしいと思う。
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父親は17歳の時に病死して自分宛てにビデオを残してたけど、実際に見たのは10年後。ビデオを残されても死を乗り越えようとする家族には逆効果だね。
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戦場にいる兵士たちが家族に宛てるメッセージならわかるけど、死んだ人からもらってもねー…。
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うつ病で仕事やめてから失業中。自分にも何か出来るような気がしてきた。
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病気で自信や職を失っても、アイデア次第で成功を収める事ができるのがすごい。
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インターネットが無かった時代には、考えられないビジネスばかりだよね。
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ネットを利用して場所を選ばず、自分のペースで病人でもビジネスが出来るってかっこいいよね。
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一度死に目に会っている人間は強い。
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一度死んだも当然だから、起業という大きな賭けが出来るのかもね。
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サバイバーは人生を謳歌してるよね。
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人口肛門袋着用者専門の下着っていいよね。
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自らの経験を恥じらずに、共有する姿がかっこいい。
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入院患者へのプレゼントって本当に迷うよね。
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↑何が欲しいか聞きづらいしね。
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病院から帰ってきて、枯れた花で埋もれた家を見ると憂鬱になるよね…。
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彼らの今後が気になるね。
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凄いアイデアがあるのは分かるけど、治療後に投資するだけの預金があるのがすごい。
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やっぱり貯金はしとかないとね。
自ら手に入れたチャンス
国立がん研究センターの高橋都氏は、就労を引き続き望むがん患者の方に対して、「空から支援は降ってきません。配慮を求めるのではく、引き出しましょう。」とアドバイスをするのだそうです。
何らかの障害や病気を抱えた方の就労を支える方々も大変なのは承知ですが、その支援に感謝しつつも、より自分に合った職場を開拓していく意欲を持った患者さん。障害を抱えた方の精神的な強さを思い知らされる記事でした。
【参考URL】http://www.bbc.co.uk/news/business-36225981
若くして事故で寝たきりになった人が、努力して足の指でパソコンを操作できるようになり、フリーのプログラマーになったという話を聞いたことがある。「自分にも何かできるんじゃないか」という気持ちが大事だね。