日本は先進国の中では非常に珍しく、所得の格差が比較的小さく平等な社会だと言われる事がありますが、本当にそうなのでしょうか？

先進国からなる国際機関、経済協力開発機構（OECD）が行った調査では、なんと日本はOECD加盟国の平均所得格差より実は高く、1980年代からじんわりと差が拡大し続けている、という結果になっています。

また同調査の中には、上位10％の富裕層と下位10％の貧困層の所得の差が80年代では7倍だったのが、90年代で8倍へ。そして2009年に入るとOECD加盟国の所得格差平均9.6倍を上回る、10.7％まで広がってる事が指摘されています。

あるところに集中する！？ザクザクお金が入る富豪達

しかし、お金持ちが更にお金持ちに、そして貧乏人がより貧乏になるという富の不平等さは、日本に限って起こっている現象ではありません。

貧困の撲滅を目指すNGO「オックスファム」の最近の発表では、富分配の不平等は減少する事なく、それどころか世界で最も裕福な62人の富が更に拡大し続けているというのです。

その額は、2010年以降からの5年間だけを見ても5000億ドル（約55兆円）以上。しかしその反面、世界人口の半分に相当する最貧困層の資産は、同時期で1兆ドル（約111兆円）以上も減っています。

今では、超裕福層の資産は合計1兆7600億ドル（約196兆円）。この金額は、実に世界の貧困層の半分に当たる約35億人の資産を合わせた額とほぼ同じ規模なのだとか。

貧困からの脱出は不可能！？理不尽な経済システム

この富分配の不平等さには幾つかの理由があるとされています。その1つが現在の経済システム。どれだけ組織に貢献しても、利益は組織トップに分配され、一般労働者にはほとんど回ってこないという点です。

ある調査では、2009年以降米国の一般労働者の給与は頭打ちなのに対し、経営上層部の報酬は54.3％も上昇しているという結果が出ています。

この労働賃金の不平等は、特に発展途上国の貧困層に深刻な影響を与えています。1990年から2010年の10年間、最貧困層に属する40％の所得は、彼らの国民平均賃金の上昇率よりも遥かに遅いスピードで上昇しています。

もし彼らの給与が国民平均賃金の上昇率と同じスピードまで追いついたのならば、1日に1.90ドル（約211円）以下で暮らす人口7億人の内、2億人以上が、現在の超貧困状態から脱出できている計算になるのだそうです。

税金をまともに払うのは損！？悪知恵の働くお金持ちたち

そして、もう1つ富裕層が増加している原因にあげられているのが、大富豪が行っている税金対策。超富裕層は、優秀で高額なファイナンシャルアドバイザーや会計士など、彼らの資産を最大限に守ってくれるプロを雇っているもの。

税金を逃れる為に海外の租税回避地（オフショア）にお金を預けるなど、税金対策の為に海外に流出したお金は、合計8兆ドル（約892兆円）にも上ると推定されています。

税金逃れを行う事自体が不平等さを招いているのですが、それ以上に、彼らの脱税行為の為に、結果的に各国政府の貧困対策への予算が十分に確保する事が出来なくなってしまいます。

そのため、教育や病院などの公的機関へのアクセス、そして生活の質などのギャップの改善を実現する事が、非常に困難になっている事は言うまでもありません。

2016年に新国樹立？国家資産をこえるスーパーリッチたち

今では、大富豪達の純資産は、国の資産をはるかに超える金額にまで達しています。マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏。彼の純資産は約792億ドル（約8兆8300億円）。この金額は、ベラルーシとスリランカのGDPを合計した金額を上回っています。

また、メキシコの実業家カルロス・スリム氏の純資産も推定771億ドル（約8兆5900億円）で、これはレバノンとウルグアイを合わせた資産よりも多い計算となります。

オックスファムは、所得格差の問題が改善されなければ、更に状況は深刻化し、2016年までにはたった1％の富裕層の富が、残りの99％の富を上回る可能性も出てくると警告しています。本当にこういう現象が今年中に起こるのでしょうか？

【参考URL】http://www.businessinsider.com/the-worlds-wealth-is-going-to-just-62-people-2016-1?amp&IR=T

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