日本人の海外旅行にとって、文化の違いは困惑の種である。分かりやすい所だとチップの有無から写真のポーズ等、旅行をすれば自分たちの当たり前が、海を越えたら通用しなくなるものである。
私は今ドイツで生活しているのだが、年月を費やせば費やしただけそういった出来事は増えて行くのである。
私が個人的に驚いたのが、トイレを利用する際のチップである。正直これは日本に住んでいたときは全く知らない習慣だったので、びっくりした。
だいたいのスーパーマーケットやレストラン等のトイレの前に男性がおり、トイレを利用する際50セント位あげるものだ。
彼らは清掃員だったり、警備員のような役割を持っていて、安全に奇麗に使えるようトイレの入り口辺りに立っている。
でも最初は、なんでトイレの為に金払わなければいけないんだ!と思い、最初は全く払わなかったが、こういったサービス業の給料はチップがほとんどの割合を占めている事を知ると、なんとまあみみっちい事をしていたのだろうと反省した。
なので海外旅行の際、欧米の国行けばだいたいトイレに人が立っていると思うので、物騒で危険だからこそ、彼らにありがとうの意味を込めて皆さんチップをしましょう。
と前書きが長くなってしまったが、そんなトイレのチップ事情とそこで働く人を紹介したいと思う
何の為のチップか
奇麗に安全に使うためのチップとは書いたものの、まあ汚いトイレもあるし、自動販売機のようにコインを入れてドアが開くトイレもある。基本的な考えとしてトイレはお金を払うものなのだろう。
80歳でこの仕事に就く男性、アーンスト・フォーゲルさんは、ベルリンの酒場に勤務しておりトイレの入り口の側に折り畳み椅子とチップの受け皿を持って、毎日出勤している。
彼曰く、「トイレの清潔さを保つのが一番のマーケティングだよ。」とのこと。
その酒場には飲食をするお客さん以外に、ただトイレを借りにきたお客さんも多く来るそうで、清潔さがリピーター獲得につながっているんだろう。
お給料
この仕事の給料の仕組みは、固定給+チップである。だからフォーゲルさんのようにリピーターを獲得する事は重要なことなのだろう。
特に調子が良い日であれば1万円を超えるチップを集める事も可能だそうだ。
常連客をつくる
そういったトイレに行っても、そんな愛想の良い人は私個人としてはあった事はまだ無いのだが、フォーゲルさんのトイレには常連客が多いそうだ。
愛想のわるいお客さんにもきちんと挨拶をし、トイレを奇麗に清潔し、お客さんとのおしゃべりにつながる。そうやって仲を築いている。
彼にはそうやって仲良くなったお客さんと一緒に写真をとりアルバムにして集めている程、常連客の数は多いのである。中でも年の始めになると一度に50€(約7000円)を払って、トイレだけを自由に使いたいから1年分まとめて支払いたがる人もいるそうだ。
彼は意識してチップを要求しない。だが良い教育を受けて育った人は、自由意志できちんとチップを支払うそうだ。この仕事を通して分かったそうだ。
どんな仕事にしろ(それが全てではないが)コミュニケーションから物事が進んで行く事って多い。人とのコミュニケーションを大切にしているから、こういった敬遠されがちで、本来はお客さんが生まれない職種でもお客さんを作る事が出来るのだろう。
特に最近ドイツではトイレマンがフランチャイズ化してマシーンで入場管理する様になった他、東ヨーロッパからきた移民者が就くといった傾向があって、こういった丁寧な気配りがより目立っているんじゃないだろうか?
では海外ではどのようにこの記事が読まれているのだろうか?一部コメントを抜粋して紹介したいと思う。
【参考URL】http://www.spiegel.de/karriere/berufsleben/rentner-mit-job-der-klomann-der-staendigen-vertretung-in-berlin-a-978851.html
http://www.spiegel.de/wirtschaft/unternehmen/sanifair-und-andere-toiletten-dienstleister-stehen-unter-verdacht-a-987326.html
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すごく良い人!
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確かに汚いトイレよりかは奇麗なトイレに行きたいしな。
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彼はニッチを積極的に発展させたから、こういった状況を生み出す事ができた。魅力的だ。
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私は個人的にこの紳士を既に知っていた。
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仕事時間はとても長いが、彼が話したチップの強要をしていないと言う話は美徳だ。
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私にとっては、自由時間は仕事よりもはるかに重要である。
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私はこの仕事に退屈する事は無いだろうな。
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彼が仕事を好み、それに喜び、彼が報われている事は素晴らしい事じゃないか。
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彼は先駆者だったんだよ。
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このバーに行ってみたいもんだよ。ベルリンだっけ?
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トイレのこういった人達のフランチャイズ化も進んでいるよね。これで東ヨーロッパから西ヨーロッパへの安価な労働力を出荷しているよね。
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トイレを要求する為の数十セント。
これは文明化されたほとんどの国では自由意志によって、レストランやショッピングセンター等で払う事になっている。
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フランチャイズ化や、マシーンを取り入れたこういうトイレで値上げが起きたから本当に詐欺を受けている様に感じるな。
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ああ。特に高速道路のパーキングエリアでの話ね。
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そのメーカーのSanifairは料金の値上げでドイツ中で大きな抗議が起きたな。結構最近の話だった筈だよ。
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トイレは中立でいるべき。レストランとお客と。
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こういう職に東から人が押し寄せて来るんだよ。それで社会問題を引き起こす。
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たしかケルン風のレストランだった筈!
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たしかこの記事のレストランの創業者はボンにお店を持っていた筈。
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年金貰ってるけど退屈だから働いているってこのトイレマンはインタビューで答えてたな。俺は退屈でも働かないぞ。
まとめ
さっきも書いたが、トイレの人達は本当に無愛想な人が多い。だからやはりこういった愛想が良い方がいたら魅力的に感じる。それに彼が、喜ばれる事をしてくれるならなおさらそうだ。私もベルリンに住んでいたらきっと利用している事だろう。
誰かに喜んでもらえたらという気持ちというのは、忘れてはいけないんだなと思った。
チップを払う払わないは自由意志。
ただトイレに立ち寄った際に、トイレが清潔かどうか?立っている人の愛想が良いか?等をサービスをきちんと見てから、払う払わないを決めても良いんじゃないかな?
いくら利点を挙げたところで結局基本給の低さの言い逃れのためにしかなってないよね