読者の皆さん、イギリスの正式名称をご存知ですか?　実はイギリスの正式な国名は、「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」。

何とも長い名称になってしまいますが、これにはイギリスの各王国、つまり、

• イングランド
• ウェールズ
• スコットランド
• 北アイルランド

　
が繰り広げてきた壮絶な民族対立の結果、最終的にこの4つの王国が連合王国として「イギリス」と言う1つの国になった事から由来するものです。

そのため、昨年にスコットランドで行なわれたイギリスからの独立への是非を問う住民投票からも分かるように、イギリスというよりも、イングランドからの独立を求めるウェールズ人、スコットランド人、北アイルランド人は未だに多く存在します。

そんな民族意識の表れなのか、とあるウェールズ人男性が、イングランドの病院を訪れた際、「外国人」として取り扱われ、後に自宅に請求書が送られて来た、という出来事がありました。

今回はこのニュースをもう少し詳しく見てみることにしましょう。

イギリス医療機関の仕組み

まず初めにイギリスの医療制度を説明しておきましょう。イギリスの医療制度は、国民健康サービス(NHS)と言う公的組織が運営しており、全て税金で賄われています。

そのためイギリス国籍者や定住者には、基本的に歯科と処方薬を除いて無償で医療サービスを受けられるようになっています。

しかし、NHSは地方分権制を採用しているため、イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの各王国によって、医療政策や医療設備が異なり、多少の医療制度の違いが見られます。

例えば、イングランドでは処方箋は有償ですが、ウェールズやスコットランドでは無償で提供されている、などです。

ただ、地方分権制を採用しているからと言っても、イギリス国籍者がどの王国で治療を受けても原則的に無償で医療サービスを利用できる事は保証されています。

イングランド優位！？

ところが元教師のウェールズ人、ニコラスさん(64歳)は、イングランドの病院で治療を受けた後、「外国人」と言う理由で2000ポンド(約35万円)の請求書がウェールズの自宅に届いたと言うのです。

事の始まりは昨年のクリスマス前。イングランドに住んでいる親戚宅を訪問した際に体調を壊し、近くの病院で3日間の検査を受ける羽目になった事から始まります。

結局、病気の原因が分からず、退院後に胃カメラ検査を医師に勧められます。

そして、医師の勧め通りイングランドの病院を再訪問し、病気の原因が分からない疲労と混乱の中、待合室で待機していたニコラスさんに対して、病院の会計事務員から衝撃的な知らせを受けます。

ニコラスさんはウェールズ在住のため、実質上、“外国人”として分類され、前回の入院及び検査費と今回の胃カメラ検査費用の請求書を送る、と告知されたのです。

そして数週間後、病院側からの通告どおりニコラスさん宅に請求書が送られて来たのです。

事務的な間違いか意図的だったのか・・・

ウェールズ人のニコラスさんがイングランドでは「外国人」と見なされ、病院から請求書が送られてきたという今回の話。

結局イングランドの病院は、ニコラスさん宅に送られてきた請求書を地元の掛かり付け病院に提出すると、彼らが請求書の処理手続きをしてくれるのでニコラスさん自身が支払う義務はない、と話しています。

また、直接請求書をニコラスさんに送り、迷惑を掛けたことに対して謝罪をしているものの、この謝罪の数日後には、病院側から診察費の催促状がニコラスさんの元に届いたのだとか。

この出来事はただの事務的な間違いだったのでしょうか？それとも政治的な意図があったのでしょうか？皆さんはどう思いますか？

【参考URL】http://www.dailymail.co.uk/health/article-3002388/Welshman-charged-1-775-treatment-English-hospital-foreigner.html

PR【お金の学校】では、アフィリエイトプログラムを利用し、アコム社から委託を受け広告収益を得て運営しています。