ウォーレン・バフェットは、世界一成功している投資家というのが定評になっています。今世紀で最も偉大な投資家といわれることさえあります。
フォーブス誌によるアメリカの長者番付では1986年に5位で登場して以来、毎年ベスト10に選ばれています。ビル・ゲイツに次いでの2位、というのが定位置でしょう。2007年にはとうとう首位になりました。
とはいえ、金融業で成功を収めた実業家のイメージとはまるでちがう人物です。
金融業の中心ウォール街やその他の金融街に住んでいるわけではありません。生まれ故郷であるアメリカ中西部のネブラスカ州オマハに住んでいます。ネブラスカ州の人口が185,6万人、州最大の都市とはいえ、オマハの人口は42.16万人にすぎないところです。
おまけに住んでいる家は、1958年に購入した中古の家です。購入価格は31,500ドル。
当時の為替1ドル360円で換算すると1,134万円です。もちろん今とは大幅に物価がちがうとはいえ、寝室が5つの中古の家は決して豪邸ではありません。
こんなウォーレン・バフェットは「オマハの賢人」と呼ばれ、敬愛を集めています。
生い立ち
幼い頃からビジネス
バフェットが生まれたのは1930年のことです。父はネブラスカ州オマハで証券業を営んでいました。
父親の影響でしょうか。幼い頃から、計算が速く、ビジネスに興味を示していました。周りは暗算の速さに舌を巻いたといわれています。
ビジネスを始めたのはなんと6歳です。祖父の店から25セントで買い取った6本入りのコカコーラを1本5セントで売り、5セントの利益を得ています。
11歳の時には、はじめて株式を買いました。シティ・サービスの優先株を姉のドリスと共に1株38ドルで3株購入しました。
購入直後に株は27ドルまで値下がりしてしまいます。驚いたものの、バフェットは気を取り戻して株価が40ドルにもどるまで待った後、売却しました。
実はこの取引は失敗で後悔するはめになります。シティ・サービスはその後値上がりを続け、200ドルにまでなったのです。この経験で、「忍耐こそ美徳」という投資の基本を学びます。
波乱の大学時代
1947年、高校を出たときはすでに新聞配達や中古のピンボールの転売で稼いでいて、大学に行く気はありませんでした。ですが父に説得され、ペンシルバニア大学のウォートン・ビジネス・スクールに通うことになりました。
ですが、教授より自分のほうがビジネスのことをわかっていると不平を言い続けることになります。やっとのことでネブラスカ大学リンカーン校に編入し、働きながら3年で大学を卒業します。
卒業の時、またもや父の説得を受け、ハーバードビジネススクールに願書を出したものの、不合格となってしまいます。
屈辱を感じたバフェットが願書を出して合格したのは、有名な投資家ベン・グラハムが教えるコロンビア大学のビジネススクールでした。
メンターとの出会い
この「投資家の父」「バリュー投資理論の考案者」と呼ばれるベン・グレアムこそがバフェットの一生の恩師、メンターとなります。
グレアムの著書『賢明なる投資家』は、価値のある会社を見つけて長期的投資を勧めるもので、投資について書かれた最高の本、とバフェットは述べています。
グレアムの門下には数々の有名投資家がいますが、唯一A+をもらった教え子はバフェットだけでした。グレアムの理論をバフェットは実践し、巨額の富を築き上げることになります。
修業時代
うまくいかない日々
卒業のときにグレアムの会社で働きたいと願ったのですが、かなえられませんでした。オバマに帰り父の証券会社で働きますが、資産の20%をつぎ込んだ投資がうまくいかず、切り詰めた生活を送るようになります。
1952年に結婚した後、住んだ月65ドルで3つの寝室のついたアパートにはネズミが住んでいたとも、1953年に生まれた娘、1954年に生まれた息子のベッドを置く場所に困ったともいわれています。
苦しい生活の中でも、苦手なスピーチ術をみがくために大学の夜間クラスに通うなど努力を続けています。
グラハムの下で働く
1954年、グレアムに誘われ、資産運用会社グレアム・ニューマンにアナリストとして入社します。
ニューヨーク郊外に住まいを見つけ、毎日、株式レポートを分析し、投資機会を探す仕事をします。この時期に、グレアムとバフェットの哲学の違いが明るみに出始めました。
グレアムは純粋に数字を求めます。貸借対照表と損益計算書だけを見て投資を決めるのです。経営陣の手腕は気にしませんでした。
一方、バフェットは会社の経営方法、ライバルと比較したときに優位に立てる理由に興味を持ちました。
バフェットは投資基準として、魅力的な価格だけではなく、自分が事業の内容を理解できること、長期的に好業績が見込めること、経営者の能力をあげるようになっていきます。
1956年にグレアムは引退し、会社は解散します。バフェットは再びオマハに帰ることになりました。
ただし、事情がかわっていました。56年までにバフェットは個人資産を14万ドルまで増やしていたのです。この資産が次のステップに進むときの軍資金となります。
投資会社の経営
バフェット・アソシエイツ株式会社
1956年5月、姉のドリス、叔母のアリスなど7人のパートナーを集めて、バフェット・アソシエイツ株式会社を設立しました。
31,500ドルで家を買ったのもこの時期です。「バフェットの愚かしさ」と名付けたこの家の寝室が初期の会社経営の場でした。会社は順調に業績を伸ばし、バフェットは地元の名士となっていきます。
バフェット・パートナーシップ会社
1962年には、全米で90以上のパートナーシップを参加に収める「バフェット・パートナーシップ会社」を開き、ファーナム街のキューイット・プラザにオフィスを構えました。
アメリカン・エキスプレス、ディズニーなどの投資で成功を収めた後、このパートナーシップ1969年に解散します。
バークシャー・ハサウェイ
現在、バフェットが経営をしている会社はバークシャー・ハサウェイといいます。
バフェットが株式を買い取った時は繊維会社で経営破綻寸前の状態でした。繊維会社として経営をたてなおせると考えていたのですが、保険産業などの投資が中核をしめるようになります。
2014年現在、従業員数302,000人、時価総額は3億1,360万ドル(313億6,000万円)です。
時間を味方に
バフェットの投資スタイルは、有望な企業を徹底的に調査し、長期投資をして収益をあげるというものです。
典型的な例がコカコーラです。バフェットがコカコーラ株を買い始めたのは1988年で、専門家の目には不可解な行動に思われました。
当時、米国市場は飽和状態にあり、コカコーラ株によい兆候はなにも見られなかったからです。ところが強力なブランドを持つコカコーラはインドなどでの新興市場で売れ行きを伸ばします。
1990年には12億ドル相当にあたる10万株を所有していたバフェットは、2010年には104億ドルの未実現利益をあげます。価値は7.66倍になったのです。
バフェットは長期的な競争力のある会社を見抜き、時間を味方につける投資家です。その姿勢は次の言葉にも表れています。
「株式投資で重要なのは、投資先の事業が長期間持続する競争力を持っているかです」
「時間はすばらしい企業にとって友であり、二流企業にとっては敵です」
「早い時期に節約の週間を学ばないのは大きな間違いだと思います。節約というのは習慣なのですから。ゆっくりとお金持ちになるのはとても簡単です。でも一気にお金持ちになるのは簡単ではありません」
【参考URL】http://beginnersinvest.about.com/cs/warrenbuffett/a/aawarrenbio.htm
http://beginnersinvest.about.com/cs/warrenbuffett/a/aawarrenquotes.htm
http://www.berkshirehathaway.com/
http://www.biography.com/people/warren-buffett-9230729#awesm=~oHDj6POfKPd8Wb
http://www.fool.com/investing/general/2014/02/08/warren-buffett-reveals-the-biggest-mistake-we-make.aspx
http://www.forbes.com/profile/warren-buffett/
http://www.mizuho-sc.com/ap/product/stock/gaikoku/result.html?exchange_code=NYS&ticker=BRK.A&search_type=0&sec_name_ticker=KFS&input_exchange_code=NYS
バークシャハサウェイの時価総額やけに低くない?
なんかの記事で読んだけど、ウォール街は金融街として有名だけど、もう金融機関は違う所に引っ越しちゃってるらしい。
それにしても、バフェットは悪名高い投資家たちの中で、数少ない好感の持てる人だ。彼の言う忍耐は、非常に単純なことなんだけど、多くの人がなぜかそれをできないんだよね。人の心理ってものはわからないなー。
時価総額おかしくね?
LTCM関連の本を読むと、面白い
結局お金を持ってても、たいして使ってないってこと?
アメリカ人として生まれたこと、白人であったこと、幸運な時代というチケットがあったとか言ってたよね。
そりゃ昔はコカ・コーラの株を買っとけば結果論だが上がっただろう高度成長だったし
今はアメリカさえ経済破綻がチラついているしそもそも1%が富の独占をしてる状態で金持ちの1%になるのは”誰でも”はさすがに無いと思う。
バフェット氏自体は嫌いではないのだが。
マネーゲームと言われるか、投資と言われるかの違いは品格に表れるな。
これは投資ですわ