近代的な側面と保守的、そして破壊的な側面を持つイスラム諸国。

イスラム諸国には、とても近代的で高層ビルの立ち並ぶドバイのような大都市や、多くの女性達の悲しみを誘ったハリウッド俳優のジョージ・クルーニーの奥さんのように、とてもおしゃれでバリバリに仕事をこなすイスラム女性は数多く存在します。

しかしその反面、イスラム国といった超過激派イスラム組織による非常に残酷な犯罪行為や、全身を覆い隠した女性といった、超保守的で抑圧されたイメージもメディアでよく報じられています。

そして非イスラム教徒にとって一番分かりづらいのが宗派。キリスト教が大まかにカトリックとプロテスタントに分類されるのと同じように、イスラム教もスンニ派とシーア派という2宗派に分けられます。

スンニ派はイスラム教徒の大多数を占め、シーア派はイスラム教徒の約15パーセント程に過ぎないと言われています。

しかし、国別に見てみると状況は少し異なります。イランでは国民の9割以上、イラクでは6割程度の人口が少数派のシーア派であり、シーア派が過半数以上を占めているのです。

その事を考えると、シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアが宗教的な理由を元に隣国にちょっかいを出し合い、俗に言う宗教戦争を仕掛けている背景が見えてきます。

このような複雑で少し理解し難いイスラム教ですが、一つだけ宗派に関係なく信じられている事があります。それは彼らの聖地「メッカ」。

イスラム教徒であれば、スンニ派であろうと、シーア派であろうとメッカへの巡礼(ハッジ)は、体力と財力がある全てのイスラム教徒にとって、少なくとも一生に一度は訪問しなければならない義務なのです。

そのため、毎年1500万人以上の信者がメッカを訪問しています。

そんなイスラム教徒にとって最大の聖地にとてつもなく大きな計画が進行していると言うのです。

その予算なんと4251億円！巨大ホテル建設プロジェクト

実は2017年のオープンを目指して、総面積約43万平方メートルの世界最大級の大型ホテル開発計画が発表されたのです。

この計画によると全室1万室を誇る44階建てタワー12棟を建設予定で、12棟の内、10棟を4つ星ホテル、2棟を最高級の5つ星ホテルとして建設が計画されており、豪華な内装もデザイン中なのだとか。

このプロジェクトの予算は22億5000万ポンド(約4251億円)。大型ホテル開発の他にも

1. 住宅地
2. ショッピングセンター
3. レストラン(70店)
4. 複数のヘリポート
5. 駐車場
6. メッカへ向かうバス停

　
などの建設も含まれているそうです。

しかし、これまた不可解な話ですが、この計画に伴いイスラム教徒にとって歴史的に重要な意味があるかと思われる建築物、例えば、

1. イスラム教最大の預言者ムハンマドの妻が住んでいた自宅
2. ムハンマドの義理の父親の自宅

　
といった歴史的建造物が、保存されることなく取り壊されたのだそうです。

この歴史的建造物の破壊には、サウジアラビアで支持を得ているイスラム教過激派グループが、こういった場所を崇拝するイスラム教徒が出現するのを恐れて破壊する事を主張していた、という説も出ています。

世界最大級ホテル開発モデル1

開発モデル2

イスラム教徒でなければそれはただのニュースに…

現在では、世界で最大級に属するホテルは全てラスベガスにあり、その中でも最も巨大と言われているのが姉妹ホテルでもある、ザ・ベネチアン・リゾートホテルとザ・パラッゾ。

ラスベガスはギャンブルやエンターテイメントを楽しむためのリゾート地。現地に着けば、現実離れした華やかな世界に酔いしれる事が出来ます。

ところが、メッカはイスラム教最大の聖地。基本的にイスラム教徒以外は立ち入りが禁止されている場所です。

中には、イスラム教徒のふりをしてメッカに入り込む方もいるようですが、なにせ戒律が厳しいサウジアラビア。捕まるような事があれば、下手をすると死刑判決が下る可能性も十分に考えられます。

イスラム教徒だけが楽しめる世界最大のホテル。非イスラム教徒はメディアの報道だけを楽しむ事しかできないようですね。

【参考URL】http://www.dailymail.co.uk/travel/travel_news/article-3090783/10-000-rooms-70-restaurants-multiple-helipads-Saudi-Arabia-reveals-plans-world-s-largest-hotel-cater-Muslims-annual-pilgrimage-Mecca.html

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