円高・円安、理解していますか?
「アベノミクス効果で円安傾向が続いていた外国為替市場の円相場は、○日より一転。安全資産の円が買われ、一時○円○銭まで上昇しました」
…聞いたことがあるような、ないような架空のニュースです。スーパーでも『円高還元セール』なる謳い文句が多用され、輸入品が通常価格より安く販売されていた時期もありましたね。
さて、アナタは円高、円安をきちんと理解できていますか。「実は曖昧なんだけど、今さら人に聞くのは…」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
元銀行員だった筆者が、実際にお客様にお話ししていたように、わかりやすく大雑把にご説明したいと思います。これを読めばアナタも誰かに教えたくなっちゃうかも!?
各国の通貨と外国為替市場
昔、物々交換を簡単にするための道具として『お金』が登場したと言われています。現在では、色々な通貨が『お金』として利用されています。
日本の円、アメリカの米ドル、イギリスのポンド、韓国のウォン、インドのルピーなど様々です。また、ユーロの場合は異なる国同士が一つの通貨を自国通貨として利用しています。これらの通貨を売買取引する市場が「外国為替市場」です。
また2つの通貨の交換比率を「為替レート(為替相場)」といいます。為替レートは政治・経済・金融市場(株式市場、債券市場、商品市場)・信用力など複数の要因の影響を受け、常に変動しています。
『円高』とはどんな状態?
通常『円高』と言われる場合、取引の基軸となっている米ドルとの交換比率を表していることがほとんどです。『円高』の言葉の裏には『円高ドル安』という意味が込められています。
『円高』とは『円の価値が上がる』ことです。1ドル100円から1ドル90円になった場合が『円高』です。
実はこれらの用語を意識するようになった当初、筆者は円の金額が少なくなるのに『円高』という言葉を使うことに違和感を感じていました。そんなときには、頭の中で次のように言葉を補足していました。
何度も練習することで基本が理解でき、その結果、金額が大きくなっても無意識に変換することが可能になりました。
突然ですが、ここで問題です。
Aさんは1ドル100円の時100万円の外貨預金を行いました。翌日の円相場は97円に上昇しました。為替手数料等を考慮しない場合、Aさんの外貨預金は日本円に換算するといくらになっているでしょう?
順を追って考えてみましょう。
②次の日1ドル97円になりました。前日比3円の円高ドル安です。
③Aさんは手元に10,000ドルもっています。為替レートは1ドル97円ですので、97×10,000=970,000円。
問題の答えとしては、Aさんの外貨預金は日本円に換算すると97万円になるということになります。実際の取引の場合、金融機関ごとに往復(日本円→米ドル、米ドル→日本円)の為替手数料が必要になりますので、さらにマイナスが増えることになります。
これからの国民生活は
2013年9月下旬には、為替レートは95~99円台で推移しています。一時期より円高傾向にはありますが、民主党政権時代に比べるとかなりの円安です。
企業にとってはプラス効果が出てきているようですが、原材料費・燃料費の高騰による商品価格や電気料金の値上がりが、家計にとってはマイナスの要因になるといわれています。国民生活にとっても、一日も早くプラス効果が出てくることを期待したいですね。