みなさん「ホスピス」という言葉を知っていますか?
このホスピスという言葉は、中世ヨーロッパ各地に存在した修道院が、聖地エルサレムへ向かう途中で病気に倒れたり、怪我を負った巡礼者たちに対して、治療や食事、そして宿を提供したものから由来していると言われています。
しかし、現代ホスピスの歴史はヨーロッパでも比較的浅く、1967年にイギリスのロンドンに創設されたセント・クリストファーズ・ホスピスが始まりだそうです。
その後、ホスピスはアメリカで急速に広まり、今ではシンガポール、台湾、韓国などのアジア各国にも数多くのホスピスが設立されています。
日本のホスピス事情
日本で初めてホスピスが開設されたのは1981年。静岡県浜松市にある聖隷三方原病院がホスピス専用の病棟(緩和ケア病棟)を設けたのが始まり。しかし、当時はホスピス医療に対する経済的な支援がほとんどなかった為に、日本ではあまり普及しませんでした。
そんな日本のホスピスに転機が訪れたのは、世界保健機関(WHO)が「がんの痛みからの解放とパリアティブ・ケア」という報告書を発表した1990年からです。
このレポートでは、末期の癌にかかった患者に対して行うケアを「緩和ケア」と名付け、治癒が不可能な患者やその家族に対して最大限に精神的・肉体的な痛みを取り除き、できる限りの生活と生命の質、つまり「クオリティ・オブ・ライフ」を実現する事を提案しています。
これを受け厚生省(現・厚生労働省)は、ホスピスや緩和ケア病棟への経済的支援を目的に「緩和ケア病棟入院料」を新設します。
国が定めた一定の施設基準を満たした病棟は、緩和ケア病棟として認定され、緩和ケアを患者に提供した場合、定額の医療費が請求できるようになったのです。
緩和ケア病棟入院料が導入された1990年では、請求額は
- 1日当たり2万5000円
しかし現在では、30日以内の入院であれば、
- 1日当たり4万9260円
が請求できるのだそうです。
この緩和ケア病棟入院料の導入を機に、1990年代後半から急速にホスピスや緩和ケア病棟が日本にも設立されました。
1990年には全国でたったの5か所しかなかったホスピスは、2010年には開設済みホスピス・緩和ケア病棟は205施設(4099床)にも上っています。(※全国ホスピス・緩和ケア協会調べ)
肝心要はボランティア!ホスピスの運営方法
ホスピスでは、患者やその家族に残された時間がより質の高いものとなるように、様々な人がチームとなって活動しています。
医師、看護師、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、音楽療法士、栄養士、薬剤師、宗教家など、数え切れないほどの専門職の人が関わっています。しかし、ホスピスで最も重要な役割を果たしているのは、実は無償で働くボランティアの人達。
彼らの役割は非常に幅広く
- 病院の庭の手入れや病棟の飾りつけと言った環境整備
- 散歩、買い物、洗濯などの生活援助
- 患者との心の交流
など、ホスピスにはなくてはならない大きな存在となっています。
無償で働く人がいる一方で・・・
しかし、英紙タイムズがこの程、ボランティアに大きく依存しているはずのホスピスの上層部職員の年棒を暴露したのです。
同紙の調べによると、イギリスのイングランドとウェールズにある250のホスピスの内、82施設で年収6万ポンド(約1116万円)以上の給与が上層部職員に支払われていることが発覚しました。
また、この記事では幹部職員の給与が、ホスピスの運営費の割合に対して最も高い3つのホスピスも記載しています。
この報告によると、セント・ジェマズ・ホスピスでは970万ポンド(約18億円)の内、少なくとも6.5%を7人の上層部職員へ、メイトン・ホスピスでは1060万ポンド(約19億円)の6.6%を8人の職員へ。
そしてトーマス・ホスピスは540万ポンド(約10億円)の内の5.4%を4人の職員の為に費やしているのだそうです。
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何でこういう事が記事になる訳?慈善団体で働いている人間の給与は、一般組織の人間より低くしないといけない訳?
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そうだよ。慈善団体で働いている清掃員に、一般組織で働いている清掃員よりも低い給与を払えと言ってるのと同じ事だよ。
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ホスピスで働いてる人達は高額の給与を貰う価値がないと言う事?
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彼らが患者やその家族の為に自己を犠牲にしている事を考えると、少ないくらいの給与だよ。
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ボランティアの人達も、患者の為にかなりの時間と労力を費やしてるよ。
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ボランティアの人達も何らかの形で評価されるべき。
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ホスピスの職員を責めるよりも、会社や銀行の役員報酬をもっと非難した方がいいと思うけど。
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ホスピスの職員は、民間企業で全く同じ職をしている人間よりもやはり給与は低いわけで、彼らもそれなりに自己犠牲を強いられているのでは?
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こういう慈善団体の真実が公開されるのは良い事だと思う。
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膨大な支援金で運営されているんだから、財政的な事はちゃんと自ら公表すべき。
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慈善団体を美化しすぎてる所はあるよね。
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上層部職員の給与を少し削れば運営も楽になるだろうし、一般の寄付に依存する率も減るのでは?
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ホスピスを運営するための優秀な人材を獲得する為に、高額な給与のパッケージを提示しなければいけないのか…。やっぱりお金目当ての幹部職員。
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ホスピスにも良い医者が必要で、それなりの給与を払わなければいけないという事だよ。
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医者も自分の能力に見合っただけの給与を要求するわけで、技術のない医者を安く雇用しても患者を苦しめるだけ。この点をちゃんと理解すべき。
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私の母親もホスピスで息を引き取ったけど、職員やボランティアの貢献はかなりのもの。ボランティアも何らかの形で評価されるシステムを作るべき。
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非常に繊細な環境の下で働く職員たちを管理するのは、そんなに簡単なことじゃないと思う。幹部職員がそれなりに評価されても良いはず。
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非難されてるけど、一般企業の幹部職員と比べるとかなり給与はかなり低いよね。
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限られた予算の中で、できるだけ税金を払わずに予算を管理する為の賢い会計士を雇ってんだよ、恐らく。
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予算の大半を援助に頼っているからこそ、すごい繊細な問題だよね。
ボランティアたちに正当な評価を
この報道を受け、加盟するホスピスをサポートしている慈善団体「ホスピスUK」は、ホスピスをより魅力的に、そして高い水準を保つためには優秀な職員が必要であり、その為にはより魅力的な給与を支払う事は必要不可欠である、と反論しています。
地域社会へ無償で貢献し、自己を犠牲にして行うボランティア。彼らが金銭的な利益を貰えないとしても、もっと社会的に大きく評価され、認知されるようなシステムを作るべきではないでしょうか。
【参考URL】http://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/hospice-charities-pay-senior-staff-up-to-160000-10495953.html
俺もいざって時はホスピスで可愛いナースに看取られて眠るように死にたいね(笑)全財産はその子とホスピスにあげちゃうよ。
NPO法人等のボランティア団体は利益目的ではない非営利組織ではありますが給与を支払わない非収益組織ではありません。
日本の法律でも一定数以上の役員は報酬を受け取る必要がありますし団体職員にはボーナス等を含む給与も支払われています。
それらの報酬や給与は寄付金や募金やグッズの売り上げ等で賄われており、寄付金や募金やグッズの売り上げが報酬や給与の総額よりも下回ると赤字団体として消滅することになります。
極端なことを言えば年間一千万円の寄付金収入で役員報酬や職員の給与総額が一千万円なら、NPO法人としての人件費だけで寄付金が消費されることになります。