2015年8月、厚生労働者は全国平均最低時給が798円になったと発表しました。米ドルに換算すると約7ドルです。10年前の2005年は668円で、毎年緩やかに、平均最低時給が上がっていっているようです。
労働者にとってはありがたい話ですが、さてこれは本当にいいことなのでしょうか?そして7ドル(798円)という金額は、世界水準で見て高いのか、安いのか?今回はこちらを調査しました。
世界で最も低い時給国ワースト5
まず平均最低時給賃金が悪い最下位を見ていきましょう。
5位:チェコ(3.3ドル/約353円)
5位:スロバキア(3.3ドル/約353円)
3位:チリ(2.9ドル/約310円)
2位:エストアニア(2.8ドル/約299円)
1位:メキシコ(0.80ドル/約85円)
(※2013年調べ)
ワースト1位のメキシコはなんと日本円にして85円です!なぜ多くのメキシコ人たちがアメリカを目指して出稼ぎに行くのか、これでよく分かりますね。
そしてこのような最下位の国々の賃金と比べると、日本の平均最低時給は非常に高い金額。メキシコに比べると、6ドル以上も高額です。
福利厚生や副収入で変わってくる?
しかしワースト5位のチェコで働いたことがある自分としては、「日本で働いた方がお金は貯まる!」とは一概に言えません。
なぜならチェコは日本に比べて物価が安く、日々の交通費、食費、娯楽費が断然安上がりでした。医療保険制度も充実しており、盲腸の手術で入院した時一銭も自腹を切ることなく全て会社の保険でカバーできました。
さらに言えば、日本よりもリラックスできる労働環境であったため、ストレス度がまったく違いました。
10年以上前の話ではありますが、当時の月収は1000ドル(約10万7000円)でした。そして交通費、住居代、光熱費は会社が負担してくれたのです。
その後東京で働きだして、約3倍の月収をもらいましたが家賃等は自払。東京の物価高、税金等のおかげで、貯金額はプラハ時代より逆に厳しくなってしまいました。
またエジプトも然りです。カイロで働いていた時、私の契約書に書かれた固定月収は500ドル(約5万3500円)でした。しかしサービス業であったため、コミションやチップが入り、多い時は月に5000ドル(約53万円)入ってきました。
エジプトはチップの国です。恐らく平均最低時給というものはOECD最下位のメキシコより低いかもしれません。しかし従業員の懐に入るチップ等も計算するならば、きっとこの国の平均最低時間給の金額も変わってくることだろうと思います。
世界で最も高額な時給国ベスト10
今度は世界で最も高額な平均最低時給の国々を見ていきましょう。
9位:カナダ(7.18ドル/約769円)
8位:ドイツ(7.19ドル/約770円)
7位:ニュージーランド(7.55ドル/約808円)
6位:オランダ(8.2ドル/約878円)
5位:フランス(8.24ドル/約882円)
4位:アイルランド(8.46ドル/約906円)
3位:ベルギー(8.57ドル/約917円)
2位:ルクセンブルグ(9.24ドル/約989円)
1位:オーストラリア(9.54ドル/約1021円)
(出典:.elitereaders.com)
ちなみに2位のルクセンブルグですが、この国では何か専門の資格やスキルを持っている場合は、この最低時給より20%増の時給が支払われます。
しかしルクセンブルグや10位のイギリスでは、30歳未満の労働者の15%は法で定められた最低時給よりも更に低い賃金しか得られていないのが現状です。これは最低時給賃金で働く30代以上の労働者の約2倍の人数です。
上記のランキングに入っている他の国々にも様々な現状があることでしょう。よってこのランキングだけを見て「オーストラリアで働いたら最低9.54ドルは貰えるんだ!」と信じてしまうのは早計。ちょっと慎重になった方がいいかもしれません。
ヨーロッパ諸国には最低賃金は存在しない!?
また上記のランキングを見てある疑問が浮かびませんか?そう、高給で知られる北欧といった国々が入っていないのです。
理由は簡単です。ヨーロッパのいくつかの国々では法的最低賃金が定められていないため、国別の正式比較表にランクインさせるのが難しいのです。
よって法的最低賃金が存在しない、
- オーストリア
- キプロス
- デンマーク
- フィンランド
- アイスランド
- イタリア
- リヒテンシュタイン
- ノルウェー
- スウェーデン
- スイス
といったヨーロッパ諸国はランキング圏外となってしまっています。
「最高の平均最低賃金国で働きたい!」と思った時には、ただそのランキングをチェックするだけでなく、法的に賃金額が定められていないこれらの国々にも目を向けた方がいいでしょう。
ちなみに法的最低賃金のない国のひとつであるスイスでは、2014年に国の最低時給賃金を22スイスフラン(約2422円)に定めようじゃないか、という動きがありました。しかし国民投票の結果反対が76%を占め、この法案は通りませんでした。
もし可決されていたなら、世界で一番高額な平均最低時給賃金国になっていたことでしょう。
法的賃金額制定は安心?実は無い方が労働者的には良い!?
「法廷最低賃金が存在しないというのは、なんだかブラックなんじゃないか?法律がしっかりしていないんじゃないの?労働者が見くびられているのではないんじゃないか?」と首を傾げる方もいるかもしれません。
実際のところ、法廷最低賃金の無い国における労働者の給料実態は悪いものではありません。例えばオーストリアでは、ほぼ100%の労働者が契約書のようなものでしっかりと最低賃金が守られています。
これと対照的なのがイギリスです。イギリスでは法的賃金額制定があるのにも関わらず、従業員の半分以上が、任意に並べ替え可能である労働条件の下で働いています。
つまり何が何でも最低賃金を保証されているわけではないのです。アメリカでも全体の労働者の15%以下が同様の条件の下で働いています。
最低賃金なんて決めなくていい!法で決められていなくても高時給がもらえる
さらに言えば「法廷最低賃金を課さない国々では低平均賃金に違いない」というイメージになりがちですが、それも大間違いです。
オーストリア、デンマーク、ノルウェー、スイスすべてが法定最低時給を持つことなく、英国より高い平均賃金を持っています。
(2013年・OECD調べ。※調査年度が違う為、前述した「世界で最も高額な平均最低時給の国々」とは多少数字が異なっています)
イギリスの場合
イギリスでは、25歳以上、週35時間以上働いている労働者に対して、2020年までに段階的に9ポンド(約1391円)まで最低賃金を引き上げようという政策が出ています。
財政監視機関の予算責任局(OBR)は2020年には成人の最低賃金は、フルタイムの平均賃金の54%相当の水準になるであろうとしています。
(2013年・OECD調べ)
イギリス領国の方がイギリス本国より賃金が高い!?
余談ですが、イギリスには王室属領というものがあります。面白いことに、イギリスそのものよりも、EU圏内にあるイギリスのテリトリーの国々の方が、最低平均時給賃金が高い、というデータが出ています。
(OECD調べ)
- ジブラルタル(イベリア半島海外イギリス領土)・・・6.15ポンド(約950円)
- ジャージー(イギリス海峡のチャンネル諸島)・・・6.78ポンド(約1047円)
- イギリス国内・・・7.06ポンド(約1091円)
どうです?失業率の高さなど問題が山積みですが、金額だけを見ると領土で働いた方がよほど稼げるのです。
ちなみにジブラルタルとジャージーの間では、上記のように0.63ポンド(約97円)の差額があります。一見大した差ではないように感じますが、週35時間労働で考えてみると両国での労働は年間1146.6ポンド(約17万7200円)もの収入差を生み出します。
ところでイギリス国内では、18~20歳が受け取る時給は5.13ポンド(約792円)。18歳以下になると3.79ポンド(約585円)になります。低年齢者を雇用した方が人件費が安くなるということになります。
2020年に導入される国立生活賃金法(最低賃金の引き上げを図る政策)も21~25歳の労働者には適応されません。よってチャネル諸島といったイギリス王室属領に移住したいと願う若者が増える可能性も出てきます。
これは若い労働力を失うかもしれないという見逃すことのできない恐ろしい予想図です。
サービス残業、無給出勤が根強く残る日本。結局時給にすると安い?
日本の平均最低賃金は外国に比べて高いものなのか、それとも先進国にしては安いんじゃないか。あなたはどちらだと感じますか?もっと正確に比較するには、より具体的なデータや情報も必要になってくるため、これだけでは簡単に答えはでないでしょう。
また言うまでもなく、日本の多くの職場では、サービス残業、サービス出勤を無言の圧力で強いられています。
契約書では、
- 勤務8時間/日
- 週休2日
- 勤務日数21日/月
- 月収25万円
となっていても、実際は毎日15時間働き、休みも取れないという人も本当に多くいます。時間給にすると「俺の時給は30円になっちゃうぞ!」という人も間違いなく大勢います。日本以外にもこのような実態を持つ国はあることでしょう。
よって表に出る正式な数字データのみで比較するのではなく、実際の労働待遇をリサーチすると、もしかしたら平均最低時間賃金ランキングの順位も変わってくるかもしれません。
それでは海外の人々のコメントを少しご紹介してみましょう。
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低賃金の国=残念、とも限らない。フランスのように低賃金でも、医療保険も含まれて大学進学するのにローンを組む必要もない社会を持つ国々もあるんだから!
(フランス)
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オーストラリアの長期失業者は世界的な金融危機以降倍増しているな・・・。
(オーストラリア)
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最低時給賃金でも長期雇用してくれるならまだいいと思う。
(アメリカ)
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頭脳を使わない単純作業に時給15ドル(約1600円)も払うのか、とバカにする奴らは多いけど、最低賃金労働者の方が勤勉だし、社会にとって必要な仕事をしてくれている。
だから最低賃金は引き上げられるべきだ。
(アメリカ)
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世界一の高額最低平均時給というのと、世界一高額な平均時給というのではまるで意味が違う。
(イギリス)
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最低賃金だけ比較してもしょうがない。住居手当、税金、保険加入等のオプショナル有無も考慮した上で比較をしないとね・・・。
(アメリカ)
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勤労所得税額控除(EITC)もどうにかしてくれ。
(アメリカ)
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実際はどんな国でも、サービス残業、サービス労働を強いられている労働者たちはいるだろうよ。
(アメリカ)
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最低時給で働くなんて、慈善活動と思わないとやり切れないわ。
(アメリカ)
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現実の支払金額というものは、こういったデータからは見えてこないもの・・・。
(アメリカ)
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こういうデータは、調査機関によって大きく数字が変わってくるよね。ま、参考程度に見るのがいいだろうな。
(アメリカ)
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オンラインで安価なものを中国からショッピングすることを国民が止めないと、この国の労働者の賃金も上がることはないと思うわ。
(アメリカ)
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オーストラリアでは最低時給を引き上げた途端に、失業率も上昇したという。最低賃金問題は慎重に取り組まねばならないんだ。
(アメリカ)
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イギリスの最低賃金の件で興味深かったのは、21歳以上、18-21歳、18歳以下のカテゴリーで平均時給金額が異なってくることだ。
若ければ若いほど金額が悪くなることだ。年齢差別を堂々とやっているんだな。
(アメリカ)
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国によって物価も税率も異なるのだから、そう単純に比較はできまい。
(アメリカ)
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最低時給で働かされている労働者は全員抗議して仕事を辞めるべきだ。そしたら最低賃金もよくなると思うね。
(アメリカ)
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イギリス国内でいうと、ロンドンが最も時給が高い街だけど、肝心な仕事がないんだよね・・・時給が安い地方の方が求人はいっぱいあるんだ・・・。
(イギリス)
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ロンドンで高額な仕事を見つけても、生活費が高いから元も子もない。
(イギリス)
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オーストラリアが世界一高額平均時給国。でも物価が高いから暮らしにくいと思うわ。
(イギリス)
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スイスの最低平均時給は4万2000スイスフラン(約462万円)らしいいよ。すげえな!
(イギリス)
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ロンドン以外の都市では平均最低時給は6.5ポンド(約1000円)よね・・・。
(イギリス)
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フィリピン人の出稼ぎたちのせいで、平均最低時給はなかなか引き上げられないと思うわね。
(カナダ)
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僕の国では平均最低時給は5ドル(約535円)らしい・・・。
(シンガポール)
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俺の国では20ドル(約2140円)が最低時給だぞ!本当だぞ!
(ノルウェー)
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俺の国では16.37ドル(約1753円)なのに、ランクインしていないのはどうしてだ?
(デンマーク)
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オーストラリアに14年住んだけど、シドニーの生活費の高さったら異常だったわよ!
(カナダ)
【参考URL】http://www.telegraph.co.uk/finance/jobs/11753344/How-generous-is-the-British-minimum-wage-compared-with-the-rest-of-the-world.html
http://money.cnn.com/2015/05/14/pf/minimum-wage-countries-australia/
http://www.theguardian.com/uk-news/davehillblog/2015/mar/26/should-london-have-its-own-higher-legal-minimum-wage
https://fortunehub.net/2015/07/27/9-countries-that-pays-the-highest-minimum-wages/
http://www.elitereaders.com/highest-minimum-wage-countries/5/
最低賃金が上がっても実は手当や退職金が削られててトータル所得が減っているってこともある。一概に良いとは言えないね。
為替情報が古い、今だと102円/ドルぐらいだから、798円は7.8ドルぐらいだな
まあ、別に嬉しくもないが
海外で働いたことがある人ならわかるが、そんなに貰えないよな。
サビ残もあったし、日本は最悪とか言っている奴はそれこそ海外で働いてみればいい。
オーストラリアじゃ一週間に手取りで10万(1ドル80円換算)円もらえたけどね
日本の労働環境がましだとか言ってる連中こそ現実見えてなさすぎだな
日本=サビ残
これ違和感あるわ。ごく一部だろんなもん
オレ週5で空残を毎日一時間貰ってるけどな
国によって物価も違うし、社会保障制度も違う。
賃金だけを比べてもほぼ意味ないね。
日本のサビ残はそれなりに解消されてきたからなあ
いまだに古いデータで自殺大国とか少子化とかステレオタイプが語られたりするよね
自殺は減ったと言えど決して少なくはなく
また少子高齢化も進行中だが何か。ステレオタイプ以前に
息を吐くように嘘を付くのは駄目だろう。
ホントここはついクリックして残念になるよね。
正社員は時給じゃねーし錆び残なんかしねーで帰宅ラッシュだろが。
ステレオタイプで単純で陳腐杉
為替データ位のせろyや
今イギリス()笑
400円くらいじゃねーか?
国内で地域ごとに最低賃金が別々に決められてるのにまたこの下らない比較ネタプロパガンダかよ
サビ残なんて全然解消されてねーよ
サービス業なんかサビ残だらけだから
そもそも日本の労働環境が悪いのは労働者の権利を労働者が全く理解してないから
なぜか経営者目線の奴ら多すぎる
日本はいい!こんなの嘘ってやつが多いけど愛国心強すぎだろ
錆び残のあるバイトってぶらっくじゃん。
一部学生でニュースになってたけど
本業で時給って底辺じゃねーか?
時給で錆び残するなよ
あと以前イギリス()笑
最低時給1000だって運動してたね。
今いくらだね?
※8
落ち着けよジョニーw
anon "ANother example of democrats slitting thier own incompetent throats. Ne.q;x..&tuot.Just because the Democrats continually shoot themselves in the foot, doesn't mean they are addicted to it. But history shows they sure seem addicted to losing. When they were the majority in BOTH Houses they couldn't pass anything. They are nothing but talkers and liars(re:Obama and CHANGE).
賃金は諦めるからサービス残業なくそう
オーストラリアの失業者は本当に失業者かな?
中国からの移民で失業保険で生活している人がそれを自慢していたが
A good many vaaulbles you’ve given me.
最低賃金、もしくは、最低賃金法が無い国の労働市場においては法令の代わりに、使用者/経営者団体と職種別労働組合が結んだ労働協約に基づいて、職種別の最低賃金が決まってます。
すなわち、溶接工ならどこの職場や会社でも時給1,800円以上で雇う。看護師なら時給2,000円以上みたいな感じでね。
だから、日本とは「最低賃金」の概念が異なるし、賃金の企業間格差もなかったりする。
日本の最低賃金と称しているものは、都道府県の最低賃金の平均値に過ぎません。
他国では、国の隅々における最低額の賃金を最低賃金と称します。
国際標準で言えば、日本の最低賃金は宮崎県などの約700円であって、
平均値の800円ではありません。
これで比較すると、購買単価で、OECD諸国の最下位レベルになるね。
じゃあ、生活物価は「宮城」計算で良いのでは?畑付き一軒家借りても月1万なんて家賃だよな
こういう記事で毎回思うけど、他の国の賃金を円に換算するだけじゃ意味無いでしょ。平均収入とか物価とかで差が出てくるんだから。日本は世界的に見れば最低賃金が高いかもしれない。けどそれは発展途上国なども含めた数字。先進国と発展途上国の物価が同じとでも?先進国の中で見れば日本の賃金は安いよ。
もともと最低賃金も安いし、その上労働基準法なんて機能せず、サービス残業だらけ。
実際の賃金は発展途上国レベルだよ。
> フランスのように低賃金でも、医療保険も含まれて大学進学するのにローンを組む必要もない社会を持つ国々もあるんだから!
日本よりも厳格な階級社会だぞ?
確かに、学費はほぼ無料でも、教科書代や、家賃、食費は莫大。資産家で無ければそもそも大学に進学出来ない。
日本人、男性、50歳です。
この頃、就職してわかったんですが、ここ20年位で、知識の乏しい善良な人を、
上手に奴隷化して働かせる仕組みが出来上がっている事がわかりました。
残念ですが、トマピケティーさんが「21世紀の資本」で言っている事は、
正しかった事を体感・実感しました。
格差は今後ますます開き続けるでしょう・・・、
僕の肌感覚での話ですが
時給850円で計算すると、850×週40時間×4週=136000円
ここから国民年金、国保税、所得税等を引くと、10万そこそこですので
水道高熱費+家賃+食費を引くと生命維持にギリギリで、
とても健康で文化的な最低限の生活は望めないと思います。
もちろん、結婚や子育ても不可能なわけで、基本的人権をベースにして
最低賃金を考えるならば、
時給1600円~1800円くらいが妥当なのではないかと思います。
フィリピンだと時給じゃなくて日給換算しかなくてしかも何時間働いても1日1000円ぐらい
まぁ国家から享受する社会保障以外の福利厚生は結局その会社によるんだろうけど、海外って日本の会社のような通勤手当、住宅手当とか家族手当あるのかな?