ギリシャのEU残留が決まって数ヶ月が経ちました。私はこの騒動をきっかけに、ユーロと円の相場変動がどの程度起きるのかすっごく興味があり、要チェックしてました。

投票日の1週間前、ユーロの値段がガクッと下降しはじめていました。そして多くのメディアで、「多分ギリシャが脱退するだろう！と言うよりその方が良いだろう！」といった論調の記事が多く見受けられたのが印象的でした。

私は結構それを真に受けていて、「脱退すればユーロの値段が下がる。そしたら日本の口座にあるお金をユーロに買えるチャンスだな！」と、脳内でいろいろ計算しました。

結果、EU残留が国民投票により決ました。ユーロの値段は一番のピークの下落よりちょこっと回復してそのままの状態が続いています。

現実的にこういう結果が正しいよなーと思いながら、我に返って気付いたのは、自分の利益の為に、ギリシャの命運が秤にかけられているのを楽しんで見ていた自分。なんと人間（というか私）はおぞましいんだ！と思った瞬間でした。

そんなギリシャ、課題を残しつつも、ユーロ加盟国の助けを借りながらこれから頑張っていく事が決まった訳ですが、この結果、他の国からどう受け止められているのか？と気になる話です。

例えば、現在私が住んでいるドイツ。この国はギリシャに援助を送る国ですが、結構反発が多いようです。国民投票前に、ギリシャ脱退を賛成する記事を結構見た上に、残留決定後は援助プログラムに反対の声を挙げるニュースもいくつか見ました。

長く続くギリシャとドイツの戦い

この2カ国間にはこれまで歴史的因縁が長くありました。

第2次世界大戦のナチスドイツの時代。その当時のドイツの富豪がギリシャの国家銀行から多額の公債を手に入れました。この支払いの決着がつかないまま時が経ち、今現在、ギリシャがこの当時のお金を賠償金としてドイツに要求している事実があります。

しかしそれとは別に数年前のギリシャ危機の際、その額に相当するような多額の援助をしたドイツとしては、その要求は受け入れがたい話でした。現在に至るまで両国にはこういった経緯があったのです。

第3回目の援助プログラムにドイツ国民は…

そしてEU残留が決まったギリシャに対して、ドイツから再度経済援助のプログラムが予定されています。

ギリシャが経済的に倹約し、経済改善を達成させるという条件付きで、EUから約860億ユーロ（約11兆6100億円）を3年間分として受け取る事が検討されています。

このプログラムについて、ドイツ人に対して行ったアンケートでは、49％がこのプログラムに反対の意を示している結果が出ました。同意している人は46％でした。

アンケートによると、「ギリシャ政府は長期的にEU加盟国からのお金に頼るつもりだろう」と答えた人が85％もいたそうです。また、それに対して11％の人は「この3度目の援助プログラムは普通の行為だ」と答えていたそうです。

こんなにも反対している人がいるとは驚きですね。冷静に考えたら、「自分たちの納めた多額の税金が、他国の為に費やされてしまう…既に何度も助けてあげたのにも関わらず！」といった考えになるのはしょうがないのかもしれません。

多額の援助が何度も行われているのにも関わらず、ギリシャ政府がドイツをチクチク突くような政治背景があるから、ぶち切れるドイツ国民は多いのでしょうね。

「もう十分、立ち直る為にお金あげたでしょ！そのお金何に使ったの！」と激怒するお母さんの様な感想を持ってしまう気持ちも分かります。

ではこのニュース、海外の人はどのような反応を示したのか非常に気になる所です。ニュースサイトに寄せられたコメントを一部抜粋して紹介したいと思います。

国境を挟んでも共通し続けるもの

コメント欄には、ギリシャへの援助が正しいかどうか判断しかねる人が多い様に見られました。

そして意外とギリシャの援助を賛同する声が多かった事に驚きです。もっとギリシャに対するバッシングがコメント欄に溢れているのかな？と予想していたので意外でした。

しかし、バッシングコメントも少ない訳ではありません。なんで私たちの税金がこんなにも使われなければいけないの？という声も多く見受けられました。

同じ陸続きにある国なのにも関わらず、こんなにも生活の質が異なってしまうのを目の当たりにすると、一つの大きな組織であるのは本当に難しい事なんだなと再認識しました。

日本は海に囲まれて何処の国とも国境が接していないので、すべての外国に対して、海の向こうにある“文化も言葉も異なった地域”と考える事が出来ます。

しかし他の多くの国は国境というのが設けられているものの、文化も言語も歴史も多く共通しています。その国境も、現在に至るまで広がったり縮まったり書き直されたりを繰り返しています。

それを踏まえて、国と国を比べてこういったニュースを読むと、国家という概念って一体なんなんだろうな、とか考えてしまいますね。母国と外国の地理がはっきりと分断されている日本に生まれたから、なおさらそう思うのかもしれません。

【参考URL】http://www.spiegel.de/politik/deutschland/griechenland-drittes-hilfspaket-polarisiert-deutsche-a-1044090.html

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