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フレデリックW.スミス – オーバーナイトデリバリー(翌朝配達)を220カ国以上で提供

2014/11/05
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世界中の企業や個人に輸送サービスを提供し、年間売り上げは4兆円を突破、従業員数約30万人という巨大企業フェデックス。米国全土でオーバーナイトデリバリー(翌朝配達)を提供する企業として1971年にフレッドW.スミスにより創業されました。

スミスがオーバーナイトデリバリーのアイデアを初めて示したのは、イエール大学の経済学のクラスのレポート、「国内のあらゆる場所に荷物を一晩で届けるビジネスを可能にする方法」でした。

あまりにも画期的なアイデアは、享受から実現性がないとして、落第ぎりぎりのCという評価しか得ることができませんでした。

それでもあきらめず、起業し成功をおさめたスミスはどのような人物なのでしょうか。また、オーバーナイトデリバリーを実現したシステムはどういうものだったのでしょう。

幼年期~大学時代~海軍

1944年ミシシッピー州に裕福な家庭に生まれましたが、起業家の父はわずか4歳のときに亡くなっています。

また、幼い頃は骨の病気に苦しめられました。幸い10歳になるころには健康を回復し、15歳のときにはすぐれたフットボール選手になり、飛行機の操縦に熱中するようになります。

大学時代には後に合衆国大統領となるジョージW.ブッシュの友人であり、大統領候補であったジョージ・ケリー上院議員とは飛行機熱をわかちあいました。

大学を出ると海軍に入隊し、1966年から1969年まで3年間を小隊長、戦線付近で行われる航空管制を行う前線航空管制官を務めます。

この時に軍の兵站を直に観察する機会に恵まれました。また、パイロットと共に200回の戦闘を経験しています。

海軍を去ったときには、敵軍との交戦において勇気を示した兵士にあたえられるシルバースターを授与していました。

ハブ&スポーク方式

1970年、アーク・アビエーション・セールスという小さな飛行機整備会社を買い取りますが、大きな悩みの種がありました。修理部品を確保できないために、すばやくサービスが提供できないことでした。

同じ悩みを抱える企業が多いことにスミスは気がつきます。

たとえば今後コンピュータが普及すれば、コンピュータ修理の受容が増えます。そうなれば、短時間で修理することが重要になり、修理部品の調達受容が高まります。

大学時代のレポートで書いたオーバーナイトデリバリーの需要に対する予測とまったく同じ事態が起こっていたのです。

問題はそれを実現する方法でした。大学ではその方式に対しては、実現不能という評価がくだされていました。

夜空を見て、「夜の空は空いている」ことに気づき、夜間であればすいた空港で配達に必要な作業も十分にできると考えたスミスは、自分で飛行機を所有すればオーバーナイトデリバリーは実現できると確信を強めていきます。

配送物の内訳を調査してみると、小口配送物の80%は航空輸送が行われていないという事実が浮かび上がってきました。小さすぎる荷物を一つ一つ集めて、ばらばらの配達場所に送るために航空機を使うのはばかげていると考えられていたのです。

しかし、各地からの部品を拠点となる空港にいったん集めて、そこから届け先別に分けて送り出すことは可能なはずでした。機材や人材は拠点となる空港に集中するため、運営の効率化を見込むこともできそうでした。

スミスが考え出したネットワーク戦略は、自動車の用語のタイヤの中心地ハブ(車軸)を支える数多くの鉄棒(スポーク)に似ているため、ハブ&スポークと呼ばれています。

このハブ&スポークを駆使した会社をスミスが設立したのは1971年のことでした。

父が残してくれた遺産400万ドル(現在価値で約2,300万ドル(23億円)に加えて、9.100万ドル(現在価値で約5億2,500万ドル(525億円)をベンチャーキャピタルで調達して設立資金としました。

この巨額の調達は、ベンチャーキャピタルとしては驚くような額です。ハブ&スポーク方式は多くの投資家から実現可能と見なされたのでした。

創業

1973年、テネシー州メンフィスのメンフィス国際空港に拠点を移して、米国主要25都市へのオーバーナイトデリバリーを開始しました。

メンフィス国際空港を拠点としたのは、真夜中から朝にかけてほとんど使用されない空港である上、安定した天候のおかげで地上での待機時間は年間を通してごくわずかであったためです。

しかし、創業から26ヶ月間の間は赤字を積み重ねることになります。2,900万ドルの損失をカバーするため、スミスがとった解決方法はギャンブルでした。ラスベガスで27,000ドルを勝ち取ったというエピソードが残っています。

とはいえ、1976年までにフェデックスの運営は軌道にのり、借金は残ったとはいえ、7.500万ドルの収益をあげることに成功します。1978年には株式を上場しました。

従業員の心をつかむ

スミスには従業員の心をつかむ才能があるようです。現場で懸命に働き続け、従業員と近い距離を保つ姿勢は評価されています。

夜遅く、メンフィス空港を訪れては、数多くの従業員の名を呼び激励することや、10年勤め続けている従業員をメンフィスに招待して朝食を共にする習慣があることはよく知られています。

また、管理職には従業員全員に尊敬の念を抱くように訓練を行い、上司と部下から評価を受ける仕組をこしらえました。従業員が忠誠心を抱く会社は必ず伸びる、忠誠心を築き上げるためには公正な扱いが何より大切、というのがスミスの考えです。

従業員の忠誠心が発揮された例を見てみましょう。

1990年代、ライバル企業UPS従業員がストライキに突入したことがあります。UPSから80万個もの貨物がフェデックスに流れ込みました。何千人ものフェデックス従業員が自主的に集まり、貨物を処理しています。

この従業員のがんばりをたたえるために、スミスは新聞に全面広告を掲載してたたえ、特別ボーナスを支給しました。

民間パイロット組合がクリスマスにストに突入した時にも、最高レベルの給料をパイロットにわたしていたフェデックスは影響をうけませんでした。

パイロット以外の従業員の説得を受け、非番の日に飛んで会社に貢献したパイロットもいました。

企業買収

スミスは「変化は必然的に起こるもので、決して脅威ではなく、機会を提供してくれるものだと理解している企業に変化を持ち込めば、大きな規模へと成長させる可能性を手に入れることができます」と語っています。

この理念は、フェデックスが企業を買収することで成長をつづけてきたことで実証されているといってよいでしょう。

フェデックスは企業買収により成功を続けた、数少ない存在といえます。通常、企業買収の50~80%は失敗に終わると言われていますが、1980年半ば以降から世界各国の企業を相手に、数万人の従業員を巻き込む買収を10件以上成功させています。

企業買収ではスミス流の人心把握術が、いかんなく発揮されているといってよいでしょう。

買収による大量解雇や経営方針の一変はおこっていません。買収した企業の社員を迎え入れ、フェデックスの強みを教えながらも、事業を任せて社員の心をつかみ、新たな収益源を獲得する方法をとっています。

たとえば1989年、アジアへの進出をもくろみ、8億8,000万ドルでフライング・タイガー・ラインを買収しました。

当初、二社の統合は難しく、フェデックスの年収は1989年度の1億8,500万ドルから1991年には600万ドルまで落ち込みました。しかし、グローバル企業の需要に目をつけたことが売り上げ増につながりました。

グローバル企業では部品を製造する工場と組み立てを行う工場が異なることが多いのですが、フェデックスは各国にちらばる部品工場から部品をハブ空港に集め、顧客の組み立てスケジュールに従い、あちこちの組立工場に納入したのです。

1998年には海外であげた収益は国内の3倍になっています。

また、1998年のカリバー・システム社の買収では、その子会社であった小口トラック輸送業者バイキング社の実績が目立ちます。

フェデックス運送となったバイキング社は代表取締役ダグラス・ダンカンが留任し、その指揮の下で2005年度には売上は前年比14%増、営業利益率は14.5%増をあげました。

再び成長へ

今では会長となったスミスですが、なおもフェデックスの顔としての活動は続いています。今後も更に業績をあげるべく、更に奮闘を続けていくのでしょう。

「リーダーとは最前線に立ち続け、自己に対する判断基準を引き上げ、他人からの判断を喜んで受ける者のことをいうのです」とスミスは語っています。

【参考URL】http://about.van.fedex.com/2013-letter-chairman
http://en.wikipedia.org/wiki/Frederick_W._Smith
http://www.achievement.org/autodoc/page/smi0bio-1
http://www.brainyquote.com/quotes/authors/f/frederick_w_smith.html
http://www.fedex.com/jp/about/
http://www.forbes.com/sites/abrambrown/2014/01/23/10-things-you-might-not-know-about-fedex-billionaire-fred-smith/
http://www.referenceforbusiness.com/biography/S-Z/Smith-Fred-1944.html

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この記事に対するコメント
  1. Kia より:

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