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無理して大学(院)は出たけれども・・・数字で見るアメリカの学生ローンの実態!

2015/01/23
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アメリカの方が日本よりずっと学歴社会だ・・・。

こう感じる人は多いのではないでしょうか。日本ではごくたまに高卒やいわゆる「無名」大を卒業した人物が、その仕事の能力の高さから重要なポストに抜擢されたということを耳にすることがあります。(決して頻繁に、ではありませんが)

しかしアメリカでは、そういうことはまずないといっていいのではないでしょうか。

私がアメリカの大手会社に勤務していた時、正社員は誰もが「超」がつくエリート大学・・・スタンフォード大やハーバード大を卒業していました。

ある時、派遣社員の中から一人だけ正社員にしようという話が出ました。

Aさんは若くて美人で人に好かれる性格で社交的。上司には時々たてつくことはありましたが、仕事はテキパキこなしすばらしい営業成績を上げ、三か国語を自由自在に操る才女でした。学歴は西海岸にある小さな短大卒でした。

Bさんはアラフォーで見た目も野暮ったく、いつもイライラカリカリしており、同僚とは協調性もなく、部下や派遣社員には横柄な態度を出す女性でした。上司に愛想をふりまくのが大変上手でした。外国語は不得意。だけどもスタンフォード大を出ています。

二人の直属の上司はAさんを強く推したのですが、会社が選んだのはBさんでした。日本支社も然りで、語学力や人脈、仕事のスキルよりも一流大学を卒業しているかどうか、ということが正社員登用の大きな要でした。

容姿や年齢で女性社員を選ばないというのには感心するものの、(日本の多くの会社でもよくみられる)「ゴマスリ」と学歴だけをみて採用を決めるというのもいかなるものかな、と首を傾げました。

「ゴマスリ」の件はさておき、もしかして私が勤めたこの会社だけが学歴最大重要視主義なのだろうか、と思いました。しかし、アメリカと日本両国で働いたことがある何人ものアメリカ人と日本人たちも私と同様の感想を口にします。

よって「アメリカン・ドリーム」「アメリカは誰でも夢を実現できる国」とよく耳にしますが、実はそれは幻想や理想に過ぎず、実態は多くの国同様に「学歴がないと成功できない」国なのではないでしょうか。

実際にアメリカ人は、無理をしてでも一流大学に進学しようと必死になることが多いです。

「人生を成功させるために、授業料が高い有名大を出なければならない。でも我が家にはそのお金がない。ではどうしたらいいのだろうか」

そこでアメリカでは1800万人ほどは一度社会に出て仕事をしてお金を貯めて、その後に大学(大学院)に入学をしているといいます。

しかし専門スキルを持たないままちょっと数年働いただけでは、大学(または大学院)の高額学費や生活費を貯めることは非常に難しいです。何しろ州立大学やカレッジの年間授業料は2万ドルを上回り、私大の授業料はそれ以上ですから。

ぽんと気前よくお金を出してくれる「足長おじさん」も普通は身近にいません。返済義務がない奨学金プログラムの数は少ないのが現実です。

そこでアメリカでは4000万人もの学生が民間および連邦学生ローンを利用して、高度教育を受ける機会を得ています。ではその実態はいかなるものなのでしょうか?

お金の話であるために「数字」をキーワードにして、アメリカの学生ローンについて考えてみましょう。

卒業生のうちの3分の2は借金持ち

親に経済的に余裕がないから、学生ローンに頼らなければならなく借金をする学生が増えています。

そしてそんな彼らがなぜ借金をしてまで大学に進学するのかというと、裕福ではなかった自分の親以上の経済力を持つために、大卒の学歴を持とうとし進学をします。(一流大学のほうが授業料は高いという統計も出ています)

実際に学生の3分の2以上が、何かしらの借金を抱えながら学業に励んでいます。だけども大学(院)を卒業すればもう解決!学士号や博士号を取得したのだから、就職は簡単。後は計画通りに地道にコツコツ返済していけば何も問題ないだろう!

ところが・・・。

無事に仕事を得たとしても、得るであろう収入の大半を学生時代のバカ高いローン返済に充てなければなりません。稼ぎのほとんどが借金返済へ・・・。当然これでは苦しい生活が続きます。

親より豊かな生活を求めて、学生ローンにまで手を出し大学に進み卒業もしてみせたのに、ローン返済に首を絞められてしまっているのです。まさにcatch-22(不条理な状態)です。

これがごく一部の人間に起きている問題ではなく、大学(院)を出た3分の2もの卒業生が借金を抱えてしまっている、という異常事態が起きているというのがアメリカの現実なのです。

近年の卒業生のうちの53%は無職

「大学は出たけれども・・・・」

いくら借金地獄で苦しむとはいえ、卒業後に無事に仕事を見つけられる学生はラッキーです。

深刻な金融危機問題等のせいで不況になり、いくら大学(院)を出ても就職先がみつからない、という事態が起きているのです。専門学校または大学(院)を出た学生のうちの53%が、仕事をみつけることができず無職です。

仕事がなければ給料ももらえません。収入がなければ学生時代のローン返済ができません。

負債が蓄積していく一方で仕方なしに別の金融機関からお金を借りる…日本でもよく耳にする「借金地獄」にはまってしまうことが多々起きており、社会的な大きな問題となっています。実際にアメリカ全土の学生ローンの負債は、驚異的な高さに到達しているといいます。

学生の債務問題により、自動車産業は60億ドルもの大金を損失

景気が良かった時代のアメリカでは学生が社会人になると、自動車はバンバン売れたものでした。

ところが現在の新社会人たちは、せっかく就職をしても学生ローン返済をしなければなりません。彼らは、もはや大人のシンボル・社会人の必要不可欠品として自動車(特に新車)を購入しなくなってしまったのです。

それどころではなく、ローン返済に初任給もつぎ込まなければなりません。

その結果自動車の売れ行きも滞ってしまい、学生ローンにがんじがらめになる卒業生の増加と共に、アメリカの自動車産業も大きな打撃を受けているのです。

学生たちのローン負債平均金額は$26,000

ほとんどのクレジットカード会社は、学生にローンを組ませることを許可しています。

授業料、教材テキスト代といったお金以外に、物価の高い都市の大学へ進学した場合、かなりの高額生活費代もかかってきます。その結果、学生たちはクレジットカードのローンをも利用することになります。

学費と生活費のダブル借金・・・本人の予想以上に桁違いの金額の返済に苦しむこともよくあります。ちなみに今やクレジットカード会社のメインの客は、こういった学生たちであると言われています。

ところで$26,000(約314万円)を持っていると想像してみてください。そのお金を一体何に使いますか?

ボートを購入しますか?家を改装しますか?長期間の旅行に出かけますか?もしくは貯金しますか?

学生ローンに頼った卒業生たちは、当然のごとしそのいずれかも選択することができません。彼らは$26,000をローン返済に充てるしかないのです。

完済する期間が延びれば延びるほど、金利が増えてしまい、それはさらなる借金地獄の入口ともなってしまいます。家を購入、車を購入するといったことは、ローンを完済するまでは決してありえないことなのです。

「学校を出た、仕事を得た。さあ車と家を買って、恋人と結婚し子どもを作ってペットを飼おう!」というのは夢の夢。

今や「学校を出た、さあ借金を返そう。期限を過ぎないように、これ以上利子がつかないようにしっかり返そう。それまでは家も車も旅行も結婚も全部お預けだ!」。

大学の授業料は400%も値上がりしている

アメリカではここ40年の間に大学の授業費は400%も値上がりしています。学費が上がれば上がるほど、当然学生たちの借金金額も額が大きくなり、完済にはより歳月を必要とします。

学生が学生ローンを完済する平均歳月は14年

多くの卒業生はローンを返済に成功しません。彼らは借金を抱えたままでいたくないし返済する責任と義務があります。

しかし、百万人以上の失業者、学生、および雇用市場は先細りで、ローン返済をすることができる卒業生は減少しているのが現実です。

RateSupermarket.caの報告によると、完全にフルに学生ローンを完済するために14年ほどかかります。学生は学位を獲得に費やした時間よりも、ローンの返済にほぼ倍増時間を費やすことになります。

これは途方もない耐久レースのようなもので、途中でギブアップしてしまう者が大勢続出しています。

年次ローン債務は$110億

社会人になった若者たちが、家や車などを購入していってくれたならばそれはアメリカの経済にとても良いことです。

しかし現実問題として、さきほどから繰り返して述べているように多くの学生は社会人になっても、自分の収入を学生ローン返済に充てています。しかしそれは一体誰にとって得になることでしょうか?銀行や国、連邦政府にとっても決して何の利益も生み出しません。

今や年次ローン債務は110億ドルにも達しています。

全学生総債務 – 1兆ドル越え!

消費者金融保護局によると2013年5月の時点で、総学生ローンの負債は、1兆ドル(約120兆円)を超えたと発表されました。途方もない絶望的な数字に思えますが、一方で前向きに考えることもできます。

この学生ローンの桁の数字は、大勢の若者が高等な教育を受けようと大学(院)に進学をしている表しでもあるのです。

大学(院)に行かなければ、借金を背負うこともないのにそれを分かっていてもより高度で専門的な教育を受けるために果敢にも莫大な借金を背負うリスクを覚悟でチャレンジをする。

中には借金を抱えるというのはどんなに大変なことか理解していないまま、ローンを組む学生もいますが、それでも情熱と野心を持った若者が大勢いるということは、アメリカの将来にはまだ光が感じられるのではないでしょうか。

一方で、そこまで無理してでも学歴に箔をつけないと、アメリカの社会では人生の脱落者になってしまう?という切迫感も伺えます。

肥っていてもだめ、名前がアフリカン系、南米系だと書類選考で不利になることもある、いくら成績が素晴らしくても授業料の高いエリート大学には入れない、ローンを組んでも卒業後に借金地獄が待っている。

かといって無名の学校を出ると出世ができない、一生いい給料をもらうこともできない・・・なぜアメリカでは宝くじ販売が過熱するのか、理由も分かるような気がします・・・。

アメリカ政府は学生ローンの深刻な問題にどうにか手を打とうと、あれこれ画作していますがまだまだ事態は深刻です。よってこの問題はネット上でもアメリカ人の間で大きな議論を呼んでおり、ここではその一部をご紹介します。

【参考URL】http://www.therichest.com/rich-list/most-shocking/10-things-youll-wish-you-didnt-know-about-student-debt/?view=all
http://www.ama-assn.org/ama/pub/ama-wire/ama-wire/post/five-ways-manage-student-debt
http://www.iwillteachyoutoberich.com/blog/student-loans-financial-aid-save-money/
http://www.npr.org/blogs/ed/2014/09/17/348036877/these-people-can-make-student-loans-disappear

この記事に対する海外の反応

人によって状況が異なるので、正しい答えはないというのを理解しておくべきよね

信頼できるファイナンシャルアドバイサーを事前に見つけておくべきだ

学生ローンの金額をマイナス思考で捉えないこと。プレッシャーに感じ重圧を感じて焦りを覚えると、うまくいくこともいかなくなる。

クレジットカードを安易に利用する癖を持たないことだ

ローン返済に苦労しないように、十分稼げる資格やスキルを身に付けること

金銭的に余裕がない若者は、授業料がばか高い私大に無理やり進学しないのが一番よ。

学費がタダのコミュニティカレッジにしておけばいいのよ。

私は37歳の時にコミュニティカレッジに入学したの。奨学金を得たから授業料はまったくかからなかったわ。

探せば返金無用の学業支援プログラムがあるのよ。そういうものを調べないで、安易に学生ローンに手を出すなんて怠慢よ。

私はカルフォルニアのコミュニティカレッジを出たけど、無料じゃなかったわよ。一学期につき750から850ドル支払っていたわ。

私はニューヨーク州のコミニュティカレッジに通っていたのだけど、一学期1000ドルだったわ。20年も昔の話だけどね。

1991年に借りた学生ローンの返済を、2014年の現在でも続けているよ・・・。

授業料の高騰は一体なんなんだ?本当にそんなに高額の価値があるのか、教授たちに問いたい

有名私大に本当は行きたいのにローン地獄を恐れて、代わりに安い大学を選んだ人々が私の周りに大勢いるわ。

でも大学に行くということは自分の人生への投資だから、値段だけで決めるのではなくその真の価値で選ぶべきだと思うわね。

大きなローンを抱えるのを恐れて、私はIVYリーグの大学には進まなかった。

いくら成績が良くても、自分のような中流階級の家の子どもには金額的に手が届かないよ。ちなみに授業料がタダ同然の州大へ行き、卒業後に自分で起業。順調だよ。

私も公立の学校を出たのだけど、まったく後悔していないし、その後の人生はうまくいっているわ。

一流私大の学歴の箔を持つことに、こだわりすぎないのが大事なのかもね。

本当に教養のある学生だけが一流大学に入るべきだ。例えローンに頼ってでも。

経済的理由から、私はサンタクララ大学からもっと授業料が安いサンノゼ州大に編入。でも新入生のように、自分で好きな科目を取ることを大学は認めてくれず、色々合わなくて途中でドロップアウトしちゃった。

半分後悔しているかな。

学士号取得のために誰もが学生ローンに手を出すべきではない。

多くの州大ではすばらしい財政援助プログラムを設けているし、私大よりレベルが上の授業のプログラムもある。先入観にとらわれず、もっと冷静に様々な大学を調べてみるべきだ。

確かに膨大な額の借金をしてまで、有名私大にこだわる必要はないと思う。しかし授業料が安い州大のほうがレベルは低いという現実もある。

例え無料でも、誰でも簡単に入れて卒業できる大学に行きたいとは私は思わない。

僕はカナダ人の大学生なんだけど、スタンフォード大に編入したいと思っている。でも授業料が二倍以上になるんだよね・・・参ったなあ。

私は大学院生なんだけど、大学時代からずっと学生ローンに頼っているの。返済のことを考えると恐怖すら覚えるわ。

費用のことを深く考えないで、NYUに願書を出したの。するとなんと合格したのよ!興奮してむろん入学をしたのだけど、思っていた以上にお金がかかるの。

大学でもインターネットでも色々な奨学金プログラムを探しているのだけど、なかなか納得いくものが見つからないの。このままだとお金の問題で途中でドロップアウトせざるをえなくなるんじゃないか、とドキドキしているわ。

僕はブラウン大かハーバード大を狙っている。これらの大学は授業料よりも、物価が高い地域であるため生活費のほうが高くつくようだ。

でも地元の州大に行こうとは思わない。人生は野心を持つべきだし、自分のキャリアを輝かしいものにするためにIVYリーグの卒業資格を持たなければならないから。

トップレベルの大学は、授業料を無料にして学生の成績や能力だけを見て入学させるべきだ。

僕はごく標準的な中流階級出身だけどイェール大に進学。ローンが大変だっただろう、とよく言われるけど全然そんなことなかったね。ちゃんとした奨学金を得たからね。

しっかりと探せば最適な奨学金プログラムはあるんだよ。

友人がバークリーではなくスタンフォードに行ったわ。学費援助プログラムがより素晴らしいからそっちの大学を選んだそうよ。

エリートの大学はただ金もうけだけではなく、しっかり学生たちのケアを考えているのだと思うわね。

世知辛いお話…。いい大学を出てもしっかり就職できるわけじゃない、っていうのは日本でも近年言われていることだけど、アメリカでもそうだったんだな~。働けなければローンも返済できない、利子が上がっていく…っていう負のスパイラルつらすぎぃ!政府の賢い人達ががんばってくれてるみたいだけど、いつ解消されることやら…
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この記事に対するコメント
  1. 日本の名無しさん より:

    日本の「奨学金」なるものは、実際はこの「学生ローン」だよね。
    あっちで奨学金と言うと返さなくていい上に生活費も込み。

    1. 日本の名無しさん より:

      ちゃんとアメリカと同様、優秀な人間だったら「返済不要な奨学金」ありますよ
      当然返済しなきゃならない奨学金はアメリカにもあります
      ちなみに日本の返済しなきゃならない奨学金の金利なんて微々たるものですけどね
      返せないほうがどうかしているレベル

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